https://news.yahoo.co.jp/articles/d1de4fe429490a2d1f6a217fe1aa94ed359da0f5
一部ネット上ではワクチンへの“対抗策”が話題になっている。ワクチンに対して疑問を抱く、いわゆる“反ワクチン”の人たちの間で、
すでに接種したワクチンの“解毒剤”として、「二酸化塩素」を体内に取り入れる行為が広がっているというのだ。
実際、SNS上では“ワクチン打って体調が悪くなった人は二酸化塩素水を飲んで”、“ワクチンには二酸化塩素がいちばん”という声が散見される。
ある医療ジャーナリストは言う。
「二酸化塩素は強い酸化力を有することから、除菌や消毒効果があり、国内では紙パルプの漂白やプール水の消毒などの用途で使われています」
そこで本誌は、「医師が教える 最善の健康法」や「新装版『ニセ医学』に騙されないために」(ともに内外出版社刊)の著者で、内科医の
名取宏氏に話を聞いた(以下、カッコ内は名取氏)。
■「典型的な万能を謳うニセ医学です」
まず名取氏は「消毒液を飲んでも感染症には効果がありません。イソジンうがい薬や消毒用アルコールを飲んだりしませんよね」と前置きした上で、
「二酸化塩素を飲んでも、ワクチンを解毒したり、新型コロナウイルス感染症を予防したり、治したりする効果はありません」と否定する。
「反ワクチン派の人たちが飲んでいるのは、Jim Humble氏が開発したと称するMMS(ミラクルミネラルソリューション)と同じもののようです。
MMSの成分としては正確には『亜塩素酸ナトリウム』といいます。そもそも二酸化塩素は常温では気体で、水に溶けたものは不安定です」
この「MMS」とは経口液体製品として過去にネット上で販売され、亜塩素酸ナトリウムを蒸留水にとかした水溶液だ。
現在、一部ネット上では、主に「MMS」をクエン酸などの酸性物質と混合させ、二酸化塩素を生成する方法が紹介されている。
そして、それを水で希釈させ一定期間継続して飲用することで、“ワクチンが解毒される”と謳っているのだ。
つまり、二酸化塩素を摂取するためには、必然的に亜塩素酸ナトリウムを飲用することになる。
しかし「MMS」については、’10年に米国FDA(食品医薬品局)や日本の厚生労働省も警告を発している。
名取氏も「MMSは新型コロナやワクチン解毒だけでなく、自閉症、がん、エイズなどあらゆる病気に効くと称されていますが、もちろんインチキです。
典型的な万能を謳うニセ医学です」と指摘し、亜塩素酸ナトリウムが人体に及ぼす危険性をこう解説する。
「亜塩素酸ナトリウムは適切な濃度で使えば漂白や殺菌に使える有用な物質ですが、誤飲による事故の報告はあります。濃度の濃い亜塩素酸ナトリウムを
誤飲すると、異常なヘモグロビンが増加するメトヘモグロビン血症、急性腎不全、大量の血管内溶血、不整脈、重度の嘔吐や下痢を引き起こします」
“ニセ医学”に引っかからないためにも、まずは正確な知識や情報を知ることが大切だ。