「あちこち痛い」「眠れない」…まわりからわかってもらえない原因不明の病気「線維筋痛症」
森本昌宏「痛みの医学事典」
Wさん(39歳、女性)は「5年前から、身体のあちこちが痛くって、だるくて、眠れないんです。
ネットで線維筋痛症のことを知って」として、私の外来を受診された。
線維筋痛症(fibromyalgia:FM)とは、慢性的な全身の痛み(痛む部位を押さえると特徴的な圧痛がある)とこわばりに加えて、
倦怠(けんたい)感、睡眠障害、「過敏性腸症候群」「過活動膀胱(ぼうこう)」
「逆流性食道炎」「ドライアイ」「ドライマウス」などを随伴する病気である。
微熱を伴うこともあり、女性の患者さんでは「間質性膀胱炎」の合併が報告されている。
さらには「天気痛」としての側面も持ち、特に梅雨時に症状が増悪すると考えられている。
重症例では、爪を切る際のわずかな振動が刺激となって痛みを引き起こしてしまうこともある。
その病像は複雑であり、診断、治療に関するエビデンスが十分には蓄積されていないことから、医療者側でも認識度は低い。
欧米では、人口の約2%の方がこのFMに苦しんでいるとするデータがある。
わが国では、患者数は人口の約1.7%(200万人)と推定されている。中年女性に発症することが多い。
https://news.yahoo.co.jp/articles/260ccb109a85afa25a9750b79fcc04660b8cc3e1