https://news.yahoo.co.jp/articles/6fdabe21757169adf453b832193e42af5b6f15df 観光が復活したタイで「ニューハーフ抱きつきスリ」が増加中…その意外な手口
ニューハーフ抱きつきスリ
最近また新型コロナウイルス感染者が増えているが、それでも一時よりは重症化のリスクが減っているため、海外渡航は緩和傾向にある。海外旅行に出る人々が増えているが、比例して話を聞く機会が増えたのが、海外での犯罪被害だ。
アジアでも屈指の観光立国となってきたタイでは、観光警察からの話で、6月下旬から7月4日までの10日間ほどだけでも8件の日本人犯罪被害が確認できた。うち半数が同じ手口というのも驚きだ。それが「ニューハーフ抱きつきスリ」である。
タイではバンコクやパタヤ、プーケットなどの観光地で、ニューハーフによるダンスショーが人気で、まるで宝塚やブロードウェイのような妖艶できらびやかなステージは、長年、人気の観光スポットになってきた。ただ、この手のショーは大きな劇場によるメジャーなステージばかりではなく、小規模なものも各所に点在しており、そこから聞こえてきた被害があった。
ニューハーフショーは、終わると美しい演者たちがチップをもらって記念撮影に応じることが定番となっているが、そこで客の財布を盗まれたとされる被害通報が相次いだのだ。
「ただ、演者に盗まれたという100%の証拠がなく、警察への通報でも本格的な捜査にはならないまま、帰国予定を遅らせるわけにもいかない観光客が泣き寝入りの状態となっている」
こう話したのはバンコク市内にオフィスを持つ旅行会社の日本人スタッフだ。
「タイでは旅行者の被害を専門に扱う通称ツーリスト・ポリスの観光警察が24時間対応で事件にあたっているんですが、それでも短期で帰国してしまう観光客が被害者ということもあって、犯人が捕まって立件されることは多くありません。
小規模なニューハーフショーの中には、大手ではやらない違法なセックス実演なども含めた演出があったり、それ自体がグレーゾーンであるので、被害に遭った日本人観光客が警察に行かないこともあります」
今回、聞かれた被害もその小規模ショーでのもので、露出度の高い衣装を着た美人演者と記念撮影した際、「追加料金を払えば抱きついてもいい」と言われ、お金を払って体を密着させての撮影をしたところ、カバンにしまったはずの財布が消えたという。観光客は店側に被害を伝えたが取り合ってもらえなかったという。
パンデミックによる入国規制で観光業が崩壊状態となっていたタイだが、段階的な緩和で今年上半期の外国人訪問客は約200万人まで回復している。それでもコロナ前の水準の10分の1以下ではあるものの、昨年は年間42万人ほどにとどまっていたため、大幅な回復といえる。7月1日からは入国許可の申請システムや、医療保険への加入義務なども撤廃され、より旅行しやすくはなった。
「これまで違反したら8万円ぐらいの罰金もあったマスク着用義務も、6月下旬からは解除されましたし、夜の歓楽街はコロナ前ほどではないにせよ、かなり客足が戻ってきています」(前出スタッフ)
実際、タイでは3月ごろ、一時は1日の感染者数が3万人近くになっていたが、以降は右肩下がりで減少。6月中旬あたりから現在まで1日2000人前後にまで落ち着いている。
「ただ、観光客の感染者も一定数いて、タイに来てから感染した日本人などは、日本語通訳のいる市内の病院に集まり、コロナ感染者向けの病床がほぼ満床。カラオケやナイトクラブなどでの感染が多いようです」(同)
その感染と並んで気を付けなければならないのが犯罪被害で「観光客の増加に比例して、スリやひったくりの盗難、飲食店での支払いを巡る金銭トラブルなどの報告が増えているので気をつけてほしい」と観光警察も取材に答えた。
巧妙な手口
日本人スタッフも「コロナ不況で観光業がダメになった人々が巧妙な観光客狙いの犯罪を始めているというウワサもある」という。
こういうニュースを聞けば、浮かれて危機意識を忘れた観光客を想像するが、被害者の中には仕事の長期出張でバンコクに住んで4年目という男性もいたらしく、犯罪者のほうがかなり巧妙ということもある。
プーケットのスポーツバーでは7月2日、「これから画面で見るサッカーの勝敗に懸けられる」と誘われた日本人が、CROWN355なる詐欺サイトに登録してしまい、クレジットカードから50万円近くの盗難被害を出したケースも新たに報告された。観光警察によると、この手のサイトの運営者は中華系マフィアだという説もあるという。