https://www.mbc.co.jp/news/article/2022081800058620.html 鹿児島公立高校61校中6校エアコン未設置「下敷きであおぐの限界」100%設置できないのはなぜ?他県ではできているのに
連日、猛暑が続いていますが、夏休み中も学校で補習という受験生もいると思います。視聴者からMBCに「息子が通う高校にはエアコンがないが、設置されている学校とそうでない学校があるのはどうしてなのか?」とメッセージが届きました。
鹿児島県内に61ある県立高校のうち、6校にはエアコンがついていません。学校のエアコン事情を取材しました。
(記者)「3年生の教室があるフロア。気温は30度を超え、廊下は汗が噴き出すほど暑いです。夏休みの補習が行われている教室では…涼しいです、これは快適。勉強にも集中できそう」
全校生徒186人の姶良市の蒲生高校です。各クラスと選択教室の13教室に、去年、エアコンが設置されました。
小中学校は国の補助金もあり、ほとんどの学校で設置されているとみられますが、県教育委員会によりますと、高校には国の補助金がなく、県も、パソコン室などを除く普通教室への設置は予算を組んでいません。そのため、高校にエアコンをつける場合、設置費や維持費を各学校で賄う必要があります。
県立高校61校のうち、エアコンが設置されていないのは6校で、県教委は「学校に配慮し、校名は明らかにできない」としています。
蒲生高校へのエアコン設置のきっかけは、生徒自身でした。
(蒲生高校 岩川透校長)
「クラスから要望が上がり、代議員会を通して生徒総会で正式に要望してきた。気温のデータも生徒が取り揃えて要望してきた」
2年前、当時の3年生が教室の温度を毎日測ったところ、35度近い日もあたっため、生徒総会で学校にエアコン設置を要望。この思いに同窓会が応え、設置費用1200万円あまりのうち、500万円を寄付し、残りはPTAの予備費や新型コロナで中止になった行事の予算などをあてました。毎月の電気代は、各家庭から月600円集めています。
受験に向けて夏休み中も学校に通う3年生は…
「(エアコンがないときは)みんな下敷きとかであおいでいた。エアコンが効いてると集中しやすい」
「1年生のときより学校に来たくなった。汗をすごくかいた状態で学校に着くが、早く教室に入りたい!ってなる。先輩方には感謝しかないです」
一方、こちらは、いちき串木野の市来農芸高校。1934年の開校から現在まで、エアコンは設置されていません。
(記者)
「こちらの教室では扇風機が4台が稼働しています。さらに教室の窓や扉を全開にして、できるだけ涼しい環境で授業を受けられるように工夫をしています」
普段、生徒たちが過ごす9つの教室に設置された扇風機は、朝7時半から午後4時までフル稼働。それでも教室の温度計は33度を示していました。
(市来農芸高校 益満隆宏教頭)
「暑いと集中力が途切れてしまうというのが考えられる。やはり暑いので、授業を受けるにあたって快適な環境で受けるために(エアコンを)設置してほしいという声もある」
市来農芸でエアコン10台を10年間のリース方式で設置した場合、電気代を含めおよそ2500万円になる試算です。生徒1人の負担額は、年間およそ1万2000円、月1000円の見込みで、学校は保護者アンケートを行うなど設置を検討しています。
すぐにできる対策として去年から大型の扇風機を導入していますが。
「授業中に強力な風を起こして(涼しくしようと)試してみたけど、扇風機の音が大きかったり、風が強すぎて教科書やノートがめくれて必死だった。快適に授業を受けられる環境を整えていきたい」
県立高校の普通教室のエアコン設置率は、九州では県が予算をつけるなどして福岡、佐賀、大分、宮崎、沖縄で100パーセントとなっていて、長崎も今年度中に県予算で整備予定です。
県は、未設置の6校について「厳しい財政状況の中、校舎の改修などにも予算が必要。学校と協議しながら対策を考えたい」としています。
年々厳しさが増す鹿児島の夏。学校現場で模索が続いています。