パチンコ業界でにわかに「キャッシュレス決済」普及の機運が高まってきた。
2022年7月19日、都内で業界団体が新型のパチンコ・パチスロ機を発表する「スマート遊技機フォーラム」が開催された。都内のホテルの大宴会場に集まった約240人に加え、オンラインで約4000人の業界関係者が参加した。
新しいパチンコ機やパチスロ機の仕様とともに、パチンコ産業の将来像も示された。業界の将来を左右するキーワードの1つが、パチンコホールにおけるキャッシュレス決済の導入だ。
■警察はパチンコ「キャッシュレス」に消極的
実は、ほとんどのパチンコホールはいまだに現金でしか遊べない。クレジットカードやそれと紐付いた電子マネー・コード決済でパチンコを楽しむのは、いわば借金をして遊ぶようなものだからだ。ユーザーののめり込み防止という観点から、警察庁はこうした決済手段を導入しないよう、口酸っぱく指導してきた。
そうはいっても、日本のキャッシュレス決済比率は2021年で32.5%に到達。経済産業省が旗振り役となり、将来的には世界最高水準の80%まで引き上げることを目指している。
7月のフォーラムでも、セガサミーホールディングス社長であり、パチスロ機メーカーの業界団体で理事も務める里見治紀氏が「若者を中心に本当にお財布を持たない世代が出てきており、高額の現金を持つのはホールに遊びに行く時だけと聞く。時代に取り残されないために、利便性の追求といった社会の要請に、スマート遊技機も応えられるようにして行きたい」と言及。業界を挙げてキャッシュレス決済を導入することに意欲を見せた。
パチンコ業界は、ほかのレジャー・エンタメ業界とは対照的にキャッシュレス決済が進まない現状に危機感を抱いている。
業界団体の1つである日本遊技関連事業協会(日遊協)は2021年4月、産学官のプレーヤーが幅広く連携するキャッシュレス推進協議会に参画。情報を収集すると同時に、日遊協でもプロジェクトチームを立ち上げ、パチンコホールにキャッシュレス決済を実際に導入する上での課題を洗い出してきた。
「業界をキャッシュレス化に向けることで、改刷(新紙幣への移行)後の現金紙幣の判別機や搬送システム、計数機などの設備投資・メンテナンス費用を低減できる。また、現金紙幣の運搬・セキュリティー費用などの低減は、業界全体のコストメリットだけでなく、環境面を軸にESGの観点からも必要だ」(日遊協)。
https://news.yahoo.co.jp/articles/afa6a58f163fe971e5b76d37827f783dc988b670