IMF世界経済見通し「日本とドイツだけ累積成長率マイナス」でも日本の惨状は“別格”と言える理由
国際通貨基金(IMF)は7月26日、春季(4月)「世界経済見通し」の改訂版を公表した。
2022年の世界経済の実質成長率(国内総生産[GDP]の前年比伸び率)見通しは3.6%から3.2%へと引き下げられた。
国・地域別に見ると、アメリカ、ユーロ圏、イギリスなど主要7カ国の見通しが軒並み1~2%ポイント下方修正された。
前回公表からの3カ月間に目を向けると、先進国の多くは景気刺激よりインフレ抑制を最優先とする姿勢を鮮明化させてきた。したがって、成長率見通しの引き下げは(景気の過熱が抑制される展開が想定されるという意味で)各国の中央銀行が狙った通りの展開と言えなくもない。
IMFも「物価上昇によって世界全体で生活水準が圧迫され続けているなか、インフレ抑制は政策当局者の最優先事項となるべき」で、「金融政策の引き締めが現実の経済コストを伴うことは不可避だが、先延ばしにすればコストを増大させるだけ」と指摘しており、成長率の低下はやむなしと考えているようだ。
ドイツの苦境
ドイツの成長率は2022年、2023年ともに主要7カ国(G7)最下位の「常連」だった日本を下回る見通しとなった。
ロシアからの天然ガス供給が慢性的に不安を抱え、高くつくスポット取引で資源購入を強いられる現在の状況は、資源輸入国(エネルギー自給率は4割程度)のドイツにとってかなり厳しい。
6月段階で供給量が約4割に削減されていた欧州向けパイプライン「ノルドストリーム1」経由の供給が、7月末以降はさらに2割程度に絞られるとも報じられており、天然ガス価格のさらなる上昇(ひいては家計や企業の負担増)に伴う実質所得環境の悪化は回避できそうにない。
その上、ドイツにとって最大の貿易相手国(貿易総額の約10%)である中国は、ゼロコロナ政策のために総需要が抑制されている。
ロシアにせよ中国にせよ、ドイツは自国以外の政治・経済環境に振り回される状況が続く。
https://www.businessinsider.jp/post-257255