国内では近年、国産ウイスキーの品薄状態が続いている。世界的な日本ウイスキーブームで原酒が品薄となっているからだ。サントリーは8月、山崎蒸溜所のギフトショップで、「山崎」など一部商品の販売を休止すると発表。フリマアプリなどではすでに定価の数倍、数十倍で売買されているが、ますます高騰しそうだ。
中国需要の最前線について、買い取り業務を行っているUPSTARTの担当者は言う。
「弊社は廃業した飲食店から買い取り依頼を受けることが多いですね。買い取り額の平均は1本当たり数千~数万円で、それを国内の中国系企業に買ってもらいます。そこから中国に輸出されるようです。
これまで買い取った中で最高額は『山崎25年』で150万円ですが、基本的に薄利多売なので、儲けは多くない。長期的に見れば国産ウイスキーの価値は上がる見通しなので、今後も続けていきます」
一方、「WeChat」の在日中国人のグループにも「国産ウイスキー高額買い取り」を謳う投稿が数多い。記者がコンタクトをとると、ある中国人業者が取材に応じた。
「私は主にコロナで閉店した水商売系の店から仕入れています。若い在日中国人のなかには自動購入BOTを使ってアマゾンや楽天で購入しているケースも多いみたい。だいたい100本単位で買うことが多く、毎月1億~2億円買い取ってる。それでも利益は年間2000万円ほど。
仕入れたウイスキーは中国の買い主に送るんですが、中国系物流会社が化粧品や資材と交ぜて送るので没収リスクはほぼない。詳しくは知らないけどX線検査を突破するノウハウもあるそうです。円安の影響は確実にあって、中国からの引き合いも増えています」
取材した8月中旬の時点ですでに「1億円以上買い取った」とのこと。実際に領収書を見せてもらうと、4000万円の金額が書かれていたものもあった。
中国側の買い主は主に貿易商社。そこからEC出店者や飲食店に販売される。例えば「山崎18年」の場合、定価は3万2000円だが、中国ECサイトでは22万円で販売されている。
https://news.yahoo.co.jp/articles/290ae4147cac4329f6f18d0afbb0e94983b65593?page=1