SNSの「お金あげます」を信じた人の末路、なぜ逮捕されたのか
10/14(金) 6:01配信
先月、あるツイートが話題になった。ある人が「お金配り」に参加して当選したので銀行口座を教えたところ、金額を間違えて当選金が多く振り込まれたという。もらいすぎた分を返金したら、警察がやってきて逮捕されてしまった……という内容だった。クレジットカードの番号を見知らぬ他人に教えると危険なことは知られているが、銀行口座も知られては危険なのだろうか。またその理由は?(ITライター 大和 哲)
● Twitterで見かける「お金配り」アカウントの謎
以前、本連載で『FacebookやTwitterの「お金あげます」おじさんは、本当にお金をくれるのか』という記事を掲載したことがある。
この時は「筆者の周りには、残念ながら『もらった』という人はいないのだが、Twitterでの反応を見る限り、本当に受け取った人もいるようだ」「本当にお金やギフト券などをくれるアカウントは、必ずその対価(フォロー、RTなど)を求めてくるはず。何もしないのに何かをくれるというアカウントは疑うべきだ」と書いたのだが、1カ月ほど前、Twitterにこんな投稿があった。
これだけだと分かりにくいと思うので、その後のツイートも踏まえて少し補足すると、こういう流れになる。
● お金配りの当選者のつもりでいたら「逮捕」された
このツイート主の「ツレの息子」さんはいったいどんな目にあったのか? 流れはこうだ。
・Twitterでいわゆる「お金配り」に応募したところ、「2万円」当選した。
・当選金をもらうために、銀行口座を相手に教えた。
・そこになぜか、200万円が振り込まれてきた。
・相手は「金額を間違えて振り込んだので返金してくれないか?礼はする」と言ってきた。
・そこで、待ち合わせ場所を決め、会うことにした。
・4回に分けてATMでお金を下ろし、200万円を待ち合わせ場所に持っていった。相手はお礼(+当選金)として10万円くれたので受け取った。つまり、190万円を返金した。
・数日後の早朝、警察がやってきて、「詐欺の受け子」の容疑で逮捕された。
話の裏を取ったわけではないが、あり得る話ではある。銀行の口座番号・氏名を教えただけでこんな犯罪に巻き込まれることがあるというのは、多くの人にとって驚きと共に恐怖だったのだろう。このツイートはかなり話題になり、1カ月近くたった今見ると、10万近くリツイートがされている。
● 反対側の「詐欺師」の視点から見ると、こうなる
ここまで読んでも、今ひとつピンと来なかった人もいるかもしれない。今度は別の視点――詐欺師の視点から、もう一度状況を見てみよう。
ある詐欺師がいる。この詐欺師は、SNS上で「お金配り」を告知している。応募してきた人に「おめでとうございます!当選金を振り込みますので、口座番号などの個人情報を教えてください」というように連絡した。
この詐欺師(グループかもしれない)は、他の詐欺も同時進行で行っている。振り込め詐欺や、フィッシング詐欺、あるいは以前取り上げた「国際ロマンス詐欺」などをやっている。
こうした詐欺の被害者から巻き上げた金を、振り込ませる先の口座が必要になる。自分の銀行口座では足がつくし、今時、架空口座を作るのも大変だ。そこで最初のツイートに戻る。そう、お金配りの「当選者」として知りあった誰かの口座を、詐欺で、巻き上げた金の振込先にするのだ。
https://news.yahoo.co.jp/articles/37b7f711cff9eb052004ce0e9ebf6a8eafc98ca2