「ロシア人」を理由にマンション入居を拒否される 群馬・前橋市の地域おこし協力隊員「国籍で判断しないで」(上毛新聞)
https://news.yahoo.co.jp/articles/4824d4d47bd7bfd85a263146335204fefd7e71a5
ロシアによるウクライナ侵攻を背景に、ロシアとの関わりを理由に不利益や嫌がらせを受けるケースが群馬県内でも生じている。前橋市で暮らすロシア人男性は国籍を理由にマンション入居を断られ、ロシア料理を提供する店には嫌がらせのような手紙が届いた。男性は「全てのロシア人が戦争支持ではない。国籍で判断しないでほしい」と訴えている。
男性は10月に外国人として初めて前橋市の地域おこし協力隊員に委嘱されたフョードロフ・パーベルさん(47)=同市文京町。9月、東京都から引っ越し、同市内のマンションに入居する手続きを進めていたところ、契約直前に突然、ロシア国籍を理由に断られた。仲介業者から「同じ建物にウクライナ人が住んでいるため、オーナーが『ロシア人が住んだら大変なことになる』と心配している」と説明を受けたという。
パーベルさんはロシア国籍だが、母親はウクライナ人。軍事侵攻後に日本で親しくなったウクライナ人の友人もいる。1997年に立教大に留学して政治学博士号を取得。日本とロシアを行き来しながらテレビのドキュメンタリー番組制作などに携わってきた。
自身の政治信条を「あらゆる戦争に反対するパシフィスト(平和主義者)」と強調。「一口に『ロシア人』といっても考え方はそれぞれ違う。ロシア人だから問題という判断は間違っている」と訴える。一方で侵攻の長期化に伴い「(同様の扱いが)さらにエスカレートするのではないか」との不安も拭えない。
ロシア料理を提供する県内の飲食店には嫌がらせとみられる手紙が届いた。店主は「大ごとにしたくないので、気にしないようにしている」と声を潜めた。
同様の問題は県外でも起きている。都内に住むロシア人女性は、街を歩いている際、擦れ違いざまに「国に帰れ」といった悪口を浴びせられたという。
県ぐんま暮らし・外国人活躍推進課によると、県内には2021年末時点で73人のロシア人が暮らしている。外国人問題に詳しい高崎市の辻智之弁護士は「国籍を理由に入居を断ることは、不法行為とみなされる可能性がある」と指摘する。
多文化共生に詳しい群馬大の結城恵教授は「自分が逆の立場だったらと思いを巡らせ、相手の気持ちを想像してほしい。海外で『日本人だから』という理由で、ネガティブに語られたらどう思うだろうか」とした上で、「国籍だけで判断を下すのではなく、その人の考えをしっかりと確認し、正しく受け入れることが重要」と話している。