「週刊文春」は広島県選挙管理委員会に情報公開請求を行い、選挙運動費用収支報告書に添付された領収書や振込明細の写しなどを入手。それらを精査したところ、候補者である寺田氏本人ではなく、「テラダミノルタケハラコウエンカイ」を依頼人とする振込明細が全9枚あることが分かった。振込明細では口座番号が伏せられているが、「お取引店番」などから「寺田稔竹原後援会」の口座である可能性が極めて高い。
選挙費用として「寺田稔竹原後援会」から関係先に振り込まれた金額は総額106万842円に及んでいた。
「寺田稔竹原後援会」については、小誌報道で故人が会計責任者を務めていたことが判明した団体だ。ただ、寺田氏は「私が代表の政治団体でない別団体」と説明してきた。
候補者本人ではなく、後援会が選挙費用を支出する行為について、広島県選挙管理委員会の担当者はこう語る。
「後援会による支出が、候補者個人の支出として記載されることなど想像もつきません。基本的に、選挙運動費用収支報告書は候補者個人の収入と支出を全て記載して提出してもらうもの。後援会などの政治活動にかかった費用とは全くの別物です」
ただ、後援会が選挙のために支出することは法的に不可能ではないという。
「一般的には、後援会から候補者個人に寄附をした上で、候補者がその寄附を原資として支出をすることはあり得ます。また、後援会から事務所などを無償提供された場合は、同報告書の収入欄に『無償提供』として記載する必要があります」(同前)
しかし、寺田氏が集めた選挙費用は自己資金と「自由民主党広島県第五選挙区支部」からの計1500万円で、「寺田稔竹原後援会」からの寄附は存在せず、「無償提供」とも記されていない。
しかも、この106万842円について、選挙運動費用収支報告書の「支出の部」欄では、いずれも寺田氏が支出した選挙運動費用として記載されていた。