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「かのお方(=神)があなたがたに禁止したのは、ただ死骸、血、豚の肉、そしてアッラー以外にささげられたものだけ。それゆえ、欲したのでも度を越したのでもなく、やむを得ずのことなら罪はない。本当にアッラーは最もよく許し、最も慈悲深い」(第2章173節)。不浄な豚肉を避けることで、神の恵みにあずかれると説きます。
豚肉や豚製品の持ち込みは禁じられており、在カタール日本大使館によると、空港で見つかれば、没収されたり、身柄を拘束されたりする可能性もあるとのこと。それゆえ出場各国は今回、滞在先の宿舎で、豚肉なしの食事を選手やスタッフへ提供しています。
■【日本】試合後の恒例メニューはカレー
例えば、シェフの西芳照さんが同行している日本代表は試合後の恒例メニュー、カレーライスの具材を変更しました。W杯同行5度目となる西さんによると、「これまでで一番、好評だったのはポークカレー」だそうですが、今回は牛肉、鶏肉、羊肉からの三択になりました。「ミンチにしたりして、その3種類で対応したい」と西さん。明日への活力となる人気メニューは、そう簡単に外しません。グループリーグE組の初戦でドイツ代表を撃破した23日の試合後、戻った宿舎で出たのはひき肉カレーでした。
豚肉に豊富に含まれているのは、疲労回復に役立つビタミンBですが、代替品の一つとして、同じくビタミンBを多く含むウナギに目をつけました。滋養強壮効果の高い食材を献立に加えるなど、「代わりになるものを多めに料理の中に入れようと考えている」と西さんは言います。
■【ドイツ】ソーセージなし、でも「開催国を尊重」
グループリーグ初戦で日本代表に敗れたドイツ代表は今回、チーム宿舎の食事会場で、ソーセージを提供しません。ドイツ国内では1000種類を超えるソーセージがあると言われるほどの名物料理ですが、ドイツ代表広報のフランツィスカ・ヴェルブさんは「私たちの調理スタッフは開催国の習慣を尊重します」と説明します。
肉料理には鶏肉などを用いているそうで、「代わりの食材はたくさんあります。いつでもその国や地域の食材も取り入れた料理を出すのが、私たちのやり方です」とヴェルブさん。今大会は、観客向けのビールの販売も制限され、ドイツ料理の代名詞とも言えるソーセージもなし。優勝4度を誇る強豪国にとっては、ややアウェー感の強い戦いになっているのかもしれません。