小中学生の8・8%「発達障害の可能性」、10年前から2・3ポイント増
全国の公立小中学校の通常学級に、発達障害の可能性のある児童生徒が8・8%いることが13日、文部科学省の調査でわかった。10年前の前回調査より2・3ポイント増で、35人学級なら3人の割合になる。学習や対人関係で著しく困難を抱える傾向があるため、文科省は一人ひとりに合わせた支援体制の構築を急いでいる。
調査は1~2月、公立小中高のうち無作為で選ばれた計1800校を対象に実施した。そのうち1627校の学級担任らが、児童生徒計約7万5000人分の様子を回答した。学習面では「話し合いの流れが理解できない」「まっすぐ字を書けない」、行動面では「教室で座っていられない」「周りが困惑するようなことも配慮しないで言ってしまう」などに該当するかを尋ねた。
学習面や行動面で発達障害の可能性がある児童生徒の割合は、小学生10・4%、中学生5・6%、高校生2・2%だった。学年が上がるにつれ、割合が下がった。学習面で該当したのは小中学生の6・5%、行動面は4・7%。ともに該当したのは2・3%だった。男女別では男子12・1%、女子5・4%と、男子が女子を大幅に上回った。
調査は10年に1回実施されており、2002年6・3%、12年6・5%だった。割合が上昇した理由として、文科省は「今まで見過ごされてきた困難のある子どもたちに、より目を向けるようになった」と説明する。発達障害への理解が進んだ結果、保護者の相談が増え、教員も意識して接するようになった。またスマホなどの普及で、対面での会話の機会が減ったことも影響しているとみられる。
文科省は17年度から、支援担当の教員を計画的に増やしている。また教員向けの手引書を作成するなど、指導の質を高める取り組みを続けている。
信州大の篠山大明准教授(児童精神医学)は「発達障害について教員の感度が高まり、これまで隠れていたものが顕在化してきたと言える。保護者にも支援が受けられるという知識が広がり、診断される子どもも増えている」と指摘している。
◆発達障害=先天的な脳機能の障害が原因とされる。知的発達に遅れはないものの読み書きや計算が難しい「学習障害」、衝動的に行動しがちな「注意欠陥・多動性障害」、対人関係を築くのが苦手な「自閉スペクトラム症」などがある。
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