昨年の10月に、小島さんが都道府県別の状況を解析したところ、興味深い結果が得られたという。
「ワクチンの追加接種率の上位5位(秋田、山形、福島、長野、北海道)と下位5位(沖縄、東京、大阪、愛知、福岡)の接種率と新規感染者数を比較すると、接種率が最も高い秋田や山形は、最も低い沖縄や大阪と比較して、人口あたり2倍以上も新規感染者が発生したのです」(小島さん)
接種と感染の関係については、「感染者が増えた結果、人々がワクチンを打つ」との意見がある。だが南日本ヘルスリサーチラボ代表で医師の森田洋之さんが反論する。
「実際のデータを見ると、感染の流行が始まる前にワクチン接種数が伸びています。特に3回目、4回目はワクチンを打ち始めてから感染者が増えたことが時系列から見ても明らかです」
「感染増→接種増」ではなく「接種増→感染増」という流れからも、ワクチンそのものが感染の原因ではないかとの疑念は拭えない。なぜ、ワクチンを打つほど新型コロナに感染するのか。確定的な答えは出ていないが、世界の研究者がメカニズムの解明に挑んでいる。
「権威ある科学誌『サイエンス』に発表された論文によると、ワクチンを3回接種するとオミクロン株に対する免疫能が特異的に抑制され、新型コロナに感染しやすくなるようです。ワクチン接種後にオミクロン株に対する免疫が弱くなることは、3回接種以降はワクチンを打つほど新型コロナにかかりやすくなることを裏づけます。3回接種で見られる現象なら、4回接種後にはより顕著になると見込まれます」(小島さん)
森田さんはワクチン接種直後の感染に注目する。
「ワクチンを打った直後は発症予防効果が高いとされます。そうであるなら接種者が増えるほど感染者が減るはずですが、現実には接種者が増えるとともに感染者も増えている。
その原因を示唆するのが『ネイチャー』誌に掲載された論文で、ワクチンを接種してから1週間ほどリンパ球の数が減るというもの。リンパ球は人間の免疫による防御の主体で、それが接種後に一時的に下がることにより、その期間は逆に感染しやすくなると考えられます」