ドジャースの大谷翔平選手の結婚をめぐり、弁護士業界がざわついている。
発端となったのは、3月21日に公開された現代ビジネス(週刊現代)のウェブ記事。「日本の大手法律事務所の関係者」によるものとして、次のようなコメントが紹介されていた。
「1年ほど前、事務所内で『大谷翔平』を相手とした契約書を目にしたのですが、その中身が『婚前契約』だったんです。〔略〕結婚発表前から所内はその話で持ちきりでした」
これが弁護士の「守秘義務」違反なのではないかというのだ。弁護士が勝手に情報を漏らしてしまえば、依頼者は事実を包み隠さず伝えることができなくなるし、そうすると弁護士も依頼者の利益を実現できなくなってしまう。
仮に当該記事の内容が事実だった場合、どうなるのか、弁護士不祥事に詳しい伊藤諭弁護士に聞いた。
●「婚前契約」情報はトップシークレット
私もこの記事をネットで見ましたが、その内容に大変驚きました。一流の週刊誌の記事ですので、綿密な取材もなく報じているはずがないと思われる一方、トップシークレット中のトップシークレットであるはずの大谷選手関連の「婚前契約」に関する話を口外する法律事務所があるとも思えません。
これらは両立しないので残念ながらどちらかの懸念は当たっていることにはなるのですが、私は、当然どちらが正しいかを判断する情報を持ち合わせていないので、あくまでも「万が一このような情報を口外する弁護士ないし法律事務所があったら」という仮定のもとでご説明します。
弁護士には依頼者の利益と相反する事案について受任してはならないルールがあります(弁護士職務基本規程27条及び28条)。これは、同じ法律事務所に属する他の弁護士が受任している事件においても同様です(同57条)。
(中略)
弁護士やその事務員の守秘義務は、職務の根幹をなすものです。この記事にあるような「法律事務所」が存在しなかったというオチを祈るばかりです。
https://www.bengo4.com/c_18/n_17367/