「法定雇用率」が定められたにもかかわらず、障害者の社会進出がなかなか進まないのはなぜなのか? さまざまな企業を見てきた木下さんにお話を伺います。
経営者が「障害者を雇用するメリットは?」と質問してしまう背景
――まずは「障害者雇用コンサルタント」の業務内容について教えてください。
木下さん(以下、敬称略):障害当事者が就労するのを支援する、とよく勘違いされてしまうのですが、私は障害者を雇用しようとする企業側にアプローチする立場です。短いと数カ月、長ければ1年ほど、企業に対して障害者雇用についての施策を提案し、ノウハウを提供しています。
最終的には私がいなくなっても、企業が問題なく障害者を雇用できるようにするのが仕事です。他にも障害者雇用のセミナーに登壇したり、それに関わる記事の執筆も行ったりしています。
――「障害者雇用率制度」が定められたことで、企業が障害者を積極的に雇用しようとする動きが見られるようになりました。一方で、その数字をクリアすることしか考えていないような企業もあるのではないでしょうか。
木下:おっしゃるとおり、障害者を「数字」でしか見ていない企業も存在するのが実情です。法定雇用率が達成されていないと、不足する障害者数に応じて、一人当たり月額5万円の納付金を納めることになりますが、それを「罰金だ」と言う人もいますね。