山形県警組織犯罪対策課などは26日、山形市の70歳代団体職員女性が特殊詐欺で現金9820万円をだまし取られたと発表した。警察官や検察官をかたって電話をかけ、女性の不安に乗じて現金を自宅駐車場脇に置かせ、回収する手口だった。今年の県内の詐欺被害では、「SNS型」の被害を含めても最高額だった。
発表によると、9月11日、女性のスマートフォンや自宅の固定電話に、実在しない「東京中央署」の警察官や、実在しない「東京中央検察庁」の検事を名乗る男から着信があった。2人は、容疑者を逮捕したら女性名義の通帳400通や携帯電話を持っており、女性に400万円を渡したと供述している、などと述べた。
「口座にあるお金の紙幣番号を調べる必要がある」と言われた女性は、指示通りに同25日から毎日、1日の出金限度額分の現金をATM(現金自動預け払い機)で下ろし続け、手元で管理した。
10月以降、現金を自宅駐車場出入り口の脇に置くよう指示され、女性は6回にわたり計9820万円を紙袋に入れて置いた。いずれも、何者かに回収された。
その後、12月16日を最後に男たちと連絡が取れなくなったことから、山形署に相談した。それまで、電話は毎日のようにかかってきて、女性は世間話をしたり、口座の残高を教えたりしていた。
県内の特殊詐欺被害では、統計が残る2004年以降で、18年の1億10万円に次ぐ2番目の被害規模。
県内では警察官などを装い、事件の解決名目で金銭を要求する詐欺の被害件数が、昨年の1件から今年(1~11月)は18件と急増している。