移民のなかには、家族と共に日本にやって来る人もいる。あるいは、日本で暮らしているうちに、子供が生まれるケースもあるだろう。
いまや「移民の街」としてのイメージが定着しつつある埼玉県川口市は、人口約60万7000人のうち、8%近い約4万8000人が外国人だ。川口市教育委員会によると、市内の公立小・中学校には約3100人の外国人児童・生徒が在籍。しかも、過去3年間は年間300〜400人のペースで増え続けているという。
最多は中国籍で、次いで多いのがトルコ籍。その大半がイラン系民族のクルド人だ。昨年5月時点で、約400名のクルド人児童・生徒が川口市内の学校に通学している。
川口市内の小学校教師が言う。
「市内の小学校のなかには、半数近くが外国籍児童という学校もあります。クルド人に限っても、ひとクラスに2〜3人が在籍しているというケースもある」
クルド人は「国を持たない世界最大の民族」と呼ばれており、迫害などから逃れるため日本へ渡ってきた。彼らの多くは日本に入国後、入管局に難民申請をするが、その審査結果が出るまでには2〜3年かかる。クルド人の難民申請が日本で認められたケースは過去に1例しかないが、不認定になっても再申請して滞在期間を延長できた。その間も入管施設は飽和状態のため収容できず、「仮放免」扱いとなり、仲間が多くいる川口市に集まってくるというわけだ。
彼らには就労資格がなく、在留資格もない。当然、それはクルド人の子供たちも同様だ。しかし日本では、在留資格の有無を問わず、人道的配慮として子供たちに教育を受ける権利を与えている。