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2016/05/13(金) 22:18:18.81 ID:CAP_USER
生きている個体の脳で正確なゲノム編集を行う新技術「SLENDR」 | EurekAlert! Science News
http://www.eurekalert.org/pub_releases_ml/2016-05/mpfi-j051116.php
1.発表者: 三國 貴康、西山 潤、安田 涼平 (マックス・プランク・フロリダ神経科学研究所、米国フロリダ州ジュピター)
2.発表のポイント:
•生きている個体の脳で正確にゲノム編集を行う「SLENDR法」を開発した。
•生きている個体の脳の細胞で標的遺伝子に目印となる配列を挿入し、標識されたタンパク質を迅速、正確、かつナノメートルレベルの高解像度で観察することが可能となった。
•網羅的なタンパク質の標識と観察は、脳細胞の分子レベルでの理解を飛躍的に向上させる。さらに、統合失調症や自閉症などの疾患遺伝子の変異を脳細胞に導入することにより、生きている個体の脳の中で疾患の細胞モデルを作成できる。これにより、精神神経疾患の病態を解明するための新しい切り口を提供できる。
3.発表概要:
近年のゲノム編集(注1)技術のめざましい進歩は、遺伝子の破壊や遺伝子配列の組み換え(注2)を簡単かつ迅速にできるようにし、ヒトや動物の生理および病態の解明を急速に進めると考えられている。しかしながら、脳の神経細胞においては、ゲノム編集による遺伝子の破壊は実現されているものの、遺伝子配列の正確な組み換えはできていなかった。これは、成熟した神経細胞のような非分裂細胞では遺伝子組み換えを引き起こすことが難しいとされてきたからである。このため、脳神経科学の研究分野においては、ゲノム編集技術の応用は著しく限られていた。
今回、米国のマックス・プランク・フロリダ神経科学研究所の三國貴康研究員、西山潤研究員と安田涼平ディレクターらは、生きている個体の脳で正確なゲノム編集を可能にするSLENDR法(注3)を開発した。研究グループは、マウスの子宮内胎児の脳に存在し、細胞分裂により脳の構成細胞を産み出す神経前駆細胞(注4)に着目した。胎生期の特定の時期の神経前駆細胞にゲノム編集操作を行うことにより、遺伝子配列の正確な組み換えを起こすことに成功した(図1)。遺伝子配列の正確な組み換え操作の有用な応用として、様々な種類の遺伝子に目印となるタグ配列(注5)を挿入することにより、胎児および成体脳で様々なタンパク質を細胞内においてナノメートル(10億分の1メートル)レベルの高解像度で可視化した。また、SLENDR法は様々な脳領域(大脳皮質、海馬、嗅球、線条体、扁桃体、小脳など)で応用できることを示した。さらに、生きている脳組織においてタンパク質の動きを正確に経時観察できることも示した(図2、3)。
脳のように細胞密度が高く、極めて複雑な組織においては、タンパク質の詳細な細胞内局在を観察するのはこれまで容易ではなかった。SLENDR法により、脳細胞でのタンパク質の局在を網羅的、特異的かつ高解像に観察することが可能になり、脳細胞の分子レベルでの理解を飛躍的に向上させることが期待される。さらに、SLENDR法は、これまで困難とされてきた、生きている個体の脳で自在にゲノム編集を利用する可能性を切り拓いた。これにより、自閉症や統合失調症などの細胞モデルを生きている個体の脳の中で再現できると考えられるため、精神神経疾患の病態を解明するための新たなアプローチを提供するものである。
(以下略)
http://www.eurekalert.org/pub_releases_ml/2016-05/mpfi-j051116.php
1.発表者: 三國 貴康、西山 潤、安田 涼平 (マックス・プランク・フロリダ神経科学研究所、米国フロリダ州ジュピター)
2.発表のポイント:
•生きている個体の脳で正確にゲノム編集を行う「SLENDR法」を開発した。
•生きている個体の脳の細胞で標的遺伝子に目印となる配列を挿入し、標識されたタンパク質を迅速、正確、かつナノメートルレベルの高解像度で観察することが可能となった。
•網羅的なタンパク質の標識と観察は、脳細胞の分子レベルでの理解を飛躍的に向上させる。さらに、統合失調症や自閉症などの疾患遺伝子の変異を脳細胞に導入することにより、生きている個体の脳の中で疾患の細胞モデルを作成できる。これにより、精神神経疾患の病態を解明するための新しい切り口を提供できる。
3.発表概要:
近年のゲノム編集(注1)技術のめざましい進歩は、遺伝子の破壊や遺伝子配列の組み換え(注2)を簡単かつ迅速にできるようにし、ヒトや動物の生理および病態の解明を急速に進めると考えられている。しかしながら、脳の神経細胞においては、ゲノム編集による遺伝子の破壊は実現されているものの、遺伝子配列の正確な組み換えはできていなかった。これは、成熟した神経細胞のような非分裂細胞では遺伝子組み換えを引き起こすことが難しいとされてきたからである。このため、脳神経科学の研究分野においては、ゲノム編集技術の応用は著しく限られていた。
今回、米国のマックス・プランク・フロリダ神経科学研究所の三國貴康研究員、西山潤研究員と安田涼平ディレクターらは、生きている個体の脳で正確なゲノム編集を可能にするSLENDR法(注3)を開発した。研究グループは、マウスの子宮内胎児の脳に存在し、細胞分裂により脳の構成細胞を産み出す神経前駆細胞(注4)に着目した。胎生期の特定の時期の神経前駆細胞にゲノム編集操作を行うことにより、遺伝子配列の正確な組み換えを起こすことに成功した(図1)。遺伝子配列の正確な組み換え操作の有用な応用として、様々な種類の遺伝子に目印となるタグ配列(注5)を挿入することにより、胎児および成体脳で様々なタンパク質を細胞内においてナノメートル(10億分の1メートル)レベルの高解像度で可視化した。また、SLENDR法は様々な脳領域(大脳皮質、海馬、嗅球、線条体、扁桃体、小脳など)で応用できることを示した。さらに、生きている脳組織においてタンパク質の動きを正確に経時観察できることも示した(図2、3)。
脳のように細胞密度が高く、極めて複雑な組織においては、タンパク質の詳細な細胞内局在を観察するのはこれまで容易ではなかった。SLENDR法により、脳細胞でのタンパク質の局在を網羅的、特異的かつ高解像に観察することが可能になり、脳細胞の分子レベルでの理解を飛躍的に向上させることが期待される。さらに、SLENDR法は、これまで困難とされてきた、生きている個体の脳で自在にゲノム編集を利用する可能性を切り拓いた。これにより、自閉症や統合失調症などの細胞モデルを生きている個体の脳の中で再現できると考えられるため、精神神経疾患の病態を解明するための新たなアプローチを提供するものである。
(以下略)