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2016/05/24(火) 17:59:58.31 ID:CAP_USER
【プレスリリース】がん細胞が免疫から逃れるメカニズムの解明 − 免疫チェックポイント阻害剤の効果予測への応用に期待 − - 日本の研究.com
https://research-er.jp/articles/view/46621
概要
生体には、本来、細胞ががん化した際に、これを排除する免疫のしくみが備わっていることが以前から知られており、その仕組みの破綻ががんの発症に大変重要な役割を担っていることが、近年の精力的な研究によって明らかにされつつあります。こうした研究によれば、がん細胞は、しばしば、「免疫チェックポイント」と呼ばれる分子を活性化することによって、免疫システムの監視から巧妙に逃れていると考えられます。このことは、代表的な免疫チェックポイント分子である PD-1 や PD-L1 といった分子を標的として最近開発された阻害抗体が、様々ながん種において(しばしば末期のがんに対してさえ)、顕著な臨床効果を示すことによっても強く支持されます。しかし、こうしたがん免疫からの回避に際して、がん細胞が、いったいどのようにしてこの免疫チェックポイント分子を活性化するのかについては、十分理解されていませんでした。また、極めて高額な医療費が必要とされる免疫チェックポイント阻害抗体を用いた治療については、その治療効果を正確に予測し効果の期待される症例に選択的に治療を行うためのバイオマーカーの開発が望まれていますが、現時点で臨床的に有用なバイオマーカーは見出されていません。
今回、京都大学大学院医学研究科腫瘍生物学 小川誠司 教授、片岡圭亮 特定助教、東京大学医科学研究所附属ヒトゲノム解析センター 宮野悟 教授、白石友一 助教、北海道大学大学院医学研究科免疫学 瀬谷司 特任教授、松本美佐子 客員教授らを中心とする研究チームは、33 種類の主要ながん種を含む 1 万例を超えるがん試料のゲノム解析データについて、スーパーコンピュータを用いた大規模な遺伝子解析を通じて、がん細胞が免疫監視を回避する新たなメカニズムを解明することに成功しました。今回の研究の主な成果は以下の点です。
1.肺がん、胃がん、食道がん、大腸がん、腎がん、膀胱がん、子宮頸がん、子宮体がん、頭頸部がん、悪性黒色腫、B細胞リンパ腫など、主要ながん種の多くで、代表的な免疫チェックポイント分子の一つであるPD-L1蛋白をコードする遺伝子の異常が生ずる結果、その遺伝子発現が著しく上昇していることを見出しました。特に、西南日本を中心として我が国に多く認められる 成人T細胞白血病では、25%という高い頻度でPD-L1のゲノムの異常が生じていることが明らかとなりました。
2.PD-L1遺伝子の異常は、いずれも、「3′非翻訳領域」と呼ばれる、蛋白質に翻訳されない遺伝子の末端部分に生ずる、欠失や部分的な配列の逆転(逆位)、他の遺伝子領域との異常な結合(転座)を含む構造異常で、どの異常においても、正常な「3′非翻訳領域」が失われる結果、PD-L1の遺伝子発現が上昇するという、新しいタイプの遺伝子異常であると考えられました。
3.実際に、がん細胞を含む様々な細胞において、最新のゲノム編集技術を用いてPD-L1の3′非翻訳領域に欠失や逆位を生じさせることによって、PD-L1の顕著な発現の上昇が生ずることが確認されました。
4.さらに、このようにして3′非翻訳領域を欠失させることによりPD-L1遺伝子の発現を誘導したがん細胞は、免疫による監視を回避して増殖することができるようになることが確認されました。一方、この増殖効果は、抗PD-L1抗体によって阻害されたことから、このようなPD-L1遺伝子のゲノム異常を認めるがんでは、免疫チェックポイント阻害剤による治療が有効である可能性が示唆されました。
(以下略)
https://research-er.jp/articles/view/46621
概要
生体には、本来、細胞ががん化した際に、これを排除する免疫のしくみが備わっていることが以前から知られており、その仕組みの破綻ががんの発症に大変重要な役割を担っていることが、近年の精力的な研究によって明らかにされつつあります。こうした研究によれば、がん細胞は、しばしば、「免疫チェックポイント」と呼ばれる分子を活性化することによって、免疫システムの監視から巧妙に逃れていると考えられます。このことは、代表的な免疫チェックポイント分子である PD-1 や PD-L1 といった分子を標的として最近開発された阻害抗体が、様々ながん種において(しばしば末期のがんに対してさえ)、顕著な臨床効果を示すことによっても強く支持されます。しかし、こうしたがん免疫からの回避に際して、がん細胞が、いったいどのようにしてこの免疫チェックポイント分子を活性化するのかについては、十分理解されていませんでした。また、極めて高額な医療費が必要とされる免疫チェックポイント阻害抗体を用いた治療については、その治療効果を正確に予測し効果の期待される症例に選択的に治療を行うためのバイオマーカーの開発が望まれていますが、現時点で臨床的に有用なバイオマーカーは見出されていません。
今回、京都大学大学院医学研究科腫瘍生物学 小川誠司 教授、片岡圭亮 特定助教、東京大学医科学研究所附属ヒトゲノム解析センター 宮野悟 教授、白石友一 助教、北海道大学大学院医学研究科免疫学 瀬谷司 特任教授、松本美佐子 客員教授らを中心とする研究チームは、33 種類の主要ながん種を含む 1 万例を超えるがん試料のゲノム解析データについて、スーパーコンピュータを用いた大規模な遺伝子解析を通じて、がん細胞が免疫監視を回避する新たなメカニズムを解明することに成功しました。今回の研究の主な成果は以下の点です。
1.肺がん、胃がん、食道がん、大腸がん、腎がん、膀胱がん、子宮頸がん、子宮体がん、頭頸部がん、悪性黒色腫、B細胞リンパ腫など、主要ながん種の多くで、代表的な免疫チェックポイント分子の一つであるPD-L1蛋白をコードする遺伝子の異常が生ずる結果、その遺伝子発現が著しく上昇していることを見出しました。特に、西南日本を中心として我が国に多く認められる 成人T細胞白血病では、25%という高い頻度でPD-L1のゲノムの異常が生じていることが明らかとなりました。
2.PD-L1遺伝子の異常は、いずれも、「3′非翻訳領域」と呼ばれる、蛋白質に翻訳されない遺伝子の末端部分に生ずる、欠失や部分的な配列の逆転(逆位)、他の遺伝子領域との異常な結合(転座)を含む構造異常で、どの異常においても、正常な「3′非翻訳領域」が失われる結果、PD-L1の遺伝子発現が上昇するという、新しいタイプの遺伝子異常であると考えられました。
3.実際に、がん細胞を含む様々な細胞において、最新のゲノム編集技術を用いてPD-L1の3′非翻訳領域に欠失や逆位を生じさせることによって、PD-L1の顕著な発現の上昇が生ずることが確認されました。
4.さらに、このようにして3′非翻訳領域を欠失させることによりPD-L1遺伝子の発現を誘導したがん細胞は、免疫による監視を回避して増殖することができるようになることが確認されました。一方、この増殖効果は、抗PD-L1抗体によって阻害されたことから、このようなPD-L1遺伝子のゲノム異常を認めるがんでは、免疫チェックポイント阻害剤による治療が有効である可能性が示唆されました。
(以下略)