理系の博士課程学生は、自分の研究生活を気に入っている。けれども彼らの多くが、そのことによって苦しんでいる。これは、Natureが世界各国の5700人以上の博士課程学生を対象に行った調査で明らかになった、最も重要な事実の1つだ。
Natureでは、博士課程学生の生活と進路の目標をさまざまな角度から探るため、2年に一度、同様の調査を行っている。今回、回答者は博士課程全般に対して高い満足度を示していたが、かなり強い不安や心許なさを感じていることも分かった。回答者の4分の1以上が関心事にメンタルヘルスを挙げていて、そのうちの45%(全回答者の12%)が、博士課程で研究に取り組むうちに感じるようになった不安や抑うつについて助けを求めたことがあるという(「困難な道を行く」参照)。多くの回答者が、研究に対して強いストレスを感じ、将来への不安に苦しみ、今の努力が納得のいく就職に結び付くか疑問に思っている。一部の学生はこうした状態に「もう耐えられそうにない」と吐露する。米国の大学で生態学を専攻するある学生は、アンケートのコメント欄に「全ての大学は、大学院生がすっかり参ってしまったときに閉じこもって泣くことができる専用の部屋を設置するべきだ」と書いている。
アンケートからは、相性の良い指導教員につくことと学生の成功との間に強い(おそらく決定的と言ってもよいほどの)関連があることも明らかになった。良い指導教員は、学生の満足度を上げる主要な因子だ。ほとんどの回答者が自分の指導教員に満足していると答えているが、4分の1近くが「指導教員を代えられるなら代えたい」と回答した。学生は、山あり谷ありの博士課程を耐え、成長していく。これは普通、1人ではできないことだ。遺伝学を専攻する南アフリカの学生はコメント欄に「私は幸せな博士課程学生です」と書いている。「楽な生活ではありませんが、ずっと望んできたことなので、苦労する価値はあります。理解があり、支援してくれて、私を次のレベルに押し上げる労をいとわない、素晴らしい指導教員にも恵まれました」。
みんな苦しい
2017年のアンケート調査に回答を寄せてくれたのは、世界のほとんどの地域の、幅広い科学分野を専攻する博士課程学生たちであった。大部分を占めたのはアジア、欧州、北米からの回答で、ほぼ同数だった。調査への参加の呼び掛けは、nature.com上のリンク、シュプリンガー・ネイチャーのデジタル出版物、および電子メールキャンペーンで行った。調査データ(go.nature.com/2kzo89o)を肉付けするため、アンケートでNatureからの連絡を許可すると回答した一部の博士過程学生に対して取材を行った。
回答は肯定的なものが多かった。博士課程に進むという決断に、ある程度以上満足している回答者は全体の4分の3以上に上り、これほどの献身を要する決断にしては強く支持されていることが分かる。ゲント大学(ベルギー)の労使関係の専門家Katia Levecqueは、この結果は、博士課程学生を対象とする別の調査結果とも非常に近いと指摘する。「博士課程学生の約80%が『満足している』か『非常に満足している』と言っています。これは、ほとんどの大学で一貫して見られる傾向です」。
回答者の12%が「博士課程研究に伴う不安や抑うつについて助けを求めたことがある」という事実から、大学院生が大きなストレスを感じていることが分かるとLevecqueは言う。「自分で選んだ道なのだから自力で何とかしようと考えるのでしょうが、自力でどうにもできない問題というのはたくさんあります」。12%という数字には、自身が抱える悩みについて助けを求めた学生しか含まれていないので、不安や抑うつに苦しむ回答者の割合がもっと高いことはほぼ確実だ。
(長いので以下省略。つづきは引用元で読んでください)
https://www.natureasia.com/ja-jp/ndigest/v15/n3/%E5%A5%BD%E3%81%8D%E9%81%8E%E3%81%8E%E3%81%A6%E3%81%A4%E3%82%89%E3%81%84%E5%8D%9A%E5%A3%AB%E8%AA%B2%E7%A8%8B/91249
Natureでは、博士課程学生の生活と進路の目標をさまざまな角度から探るため、2年に一度、同様の調査を行っている。今回、回答者は博士課程全般に対して高い満足度を示していたが、かなり強い不安や心許なさを感じていることも分かった。回答者の4分の1以上が関心事にメンタルヘルスを挙げていて、そのうちの45%(全回答者の12%)が、博士課程で研究に取り組むうちに感じるようになった不安や抑うつについて助けを求めたことがあるという(「困難な道を行く」参照)。多くの回答者が、研究に対して強いストレスを感じ、将来への不安に苦しみ、今の努力が納得のいく就職に結び付くか疑問に思っている。一部の学生はこうした状態に「もう耐えられそうにない」と吐露する。米国の大学で生態学を専攻するある学生は、アンケートのコメント欄に「全ての大学は、大学院生がすっかり参ってしまったときに閉じこもって泣くことができる専用の部屋を設置するべきだ」と書いている。
アンケートからは、相性の良い指導教員につくことと学生の成功との間に強い(おそらく決定的と言ってもよいほどの)関連があることも明らかになった。良い指導教員は、学生の満足度を上げる主要な因子だ。ほとんどの回答者が自分の指導教員に満足していると答えているが、4分の1近くが「指導教員を代えられるなら代えたい」と回答した。学生は、山あり谷ありの博士課程を耐え、成長していく。これは普通、1人ではできないことだ。遺伝学を専攻する南アフリカの学生はコメント欄に「私は幸せな博士課程学生です」と書いている。「楽な生活ではありませんが、ずっと望んできたことなので、苦労する価値はあります。理解があり、支援してくれて、私を次のレベルに押し上げる労をいとわない、素晴らしい指導教員にも恵まれました」。
みんな苦しい
2017年のアンケート調査に回答を寄せてくれたのは、世界のほとんどの地域の、幅広い科学分野を専攻する博士課程学生たちであった。大部分を占めたのはアジア、欧州、北米からの回答で、ほぼ同数だった。調査への参加の呼び掛けは、nature.com上のリンク、シュプリンガー・ネイチャーのデジタル出版物、および電子メールキャンペーンで行った。調査データ(go.nature.com/2kzo89o)を肉付けするため、アンケートでNatureからの連絡を許可すると回答した一部の博士過程学生に対して取材を行った。
回答は肯定的なものが多かった。博士課程に進むという決断に、ある程度以上満足している回答者は全体の4分の3以上に上り、これほどの献身を要する決断にしては強く支持されていることが分かる。ゲント大学(ベルギー)の労使関係の専門家Katia Levecqueは、この結果は、博士課程学生を対象とする別の調査結果とも非常に近いと指摘する。「博士課程学生の約80%が『満足している』か『非常に満足している』と言っています。これは、ほとんどの大学で一貫して見られる傾向です」。
回答者の12%が「博士課程研究に伴う不安や抑うつについて助けを求めたことがある」という事実から、大学院生が大きなストレスを感じていることが分かるとLevecqueは言う。「自分で選んだ道なのだから自力で何とかしようと考えるのでしょうが、自力でどうにもできない問題というのはたくさんあります」。12%という数字には、自身が抱える悩みについて助けを求めた学生しか含まれていないので、不安や抑うつに苦しむ回答者の割合がもっと高いことはほぼ確実だ。
(長いので以下省略。つづきは引用元で読んでください)
https://www.natureasia.com/ja-jp/ndigest/v15/n3/%E5%A5%BD%E3%81%8D%E9%81%8E%E3%81%8E%E3%81%A6%E3%81%A4%E3%82%89%E3%81%84%E5%8D%9A%E5%A3%AB%E8%AA%B2%E7%A8%8B/91249