国立環境研究所などの研究グループは16日、ニワトリとヤンバルクイナ由来の細胞から、半永久的に細胞増殖する「無限分裂(不死化)細胞」を作る技術を確立したと発表した。
絶滅危惧鳥類の無限分裂細胞の樹立は、世界で初めて。
生体実験が難しい絶滅危惧種の鳥類の研究が細胞レベルでできるようになり、ヤンバルクイナをはじめとする野生鳥類の感染症対策などに応用できるという。
鳥類の細胞は、ほ乳類よりも培養が難しいことから、研究のための資源化が課題となっていた。
同研究では、日本固有の鳥類で絶滅危惧種のヤンバルクイナと、ニワトリの細胞にそれぞれ、培養の際のダメージを和らげるヒト由来の遺伝子など三つの遺伝子を導入。
細胞分裂する機能を高め、細胞寿命を延ばすことに成功した。
ヤンバルクイナの細胞は、交通事故などで死んだ個体から採取した。
これらの無限分裂細胞は簡単に培養できるといい、今後はヤンバルクイナを取り巻く感染症や汚染物質などの対策に役立てる予定だという。
国立環境研究所の片山雅史特別研究員は「国内に生息するさまざまな野生鳥類に応用でき、個体減少に影響を及ぼすリスクの分析に役立つ」と説明した。
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