これまでにアルツハイマー型認知症と診断されていた人の中には、実は新たに発見された種類の認知症だった人が多く含まれていると、国際研究チームが発表した。
ある専門家は、近年で最も重要な認知症に絡む発見だと話している。研究は医学誌「ブレイン」に発表された。
LATE(Limbic-predominant age-related TDP-43 encephalopathy、大脳辺縁系優位型老年期TDP-43脳症)と呼ばれるこの症状は、アルツハイマー型認知症と似ているが、異なる病気だという。
新たな認知症が特定されたことで、これまで認知症の治療方法が確立してこなかった理由が明らかになるかもしれない。
■認知症とは?
認知症は単一の病気ではなく、記憶や思考が損なわれるなどの症状をまとめた呼び方だ。
さまざまな種類の認知症があるが、中でもアルツハイマー型認知症が最も患者の数が多いとされ、広く研究されている。
しかし今回の研究では、アルツハイマー型と診断された患者の最大で3分の1が、実はLATEである可能性があるとしている。また、アルツハイマー型とLATEは併発することもあるという。
研究は、認知症患者の死後解剖の結果を基にしている。それによると、LATEは80歳以上が罹患するもので、この年齢グループでは5人に1人の割合で症状が確認された。
調査チームはこのことから、公衆衛生におけるLATEの影響は大きいと指摘した。
アルツハイマー型と違い、LATEはより緩やかに記憶が失われていくとみられている。
■治療法は確立されるか
現在、認知症を特定する単一の診断方法は確立されていない。場合によっては、死後に発覚することもある。
LATEはTDP-43と呼ばれるたんぱく質に由来する。一方、アルツハイマー型はアミロイドとタウというたんぱく質と関連がある。
科学者は認知症の治療法を確立しようとしているが、認知症にはさまざまな種類や原因があるため、実現は困難だ。
アルツハイマー型の原因とされるたんぱく質を脳内から減らす薬の実験は、失敗に終わった。
効果的な治療法が見つからない中、認知症治療薬の開発競争から降りる製薬会社も出ている。
こうした中で研究チームは、LATEをより深く研究することで、新たな治療法が見つかるかもしれないと話した。
研究論文では、LATEへの認知向上や、さらなる研究へのガイダンスが示された。
研究を主導した米ケンタッキー大学のピート・ネルソン博士は、「LATEはずっと存在していた。我々が初めて特定しただけだ」と話した。
「アルツハイマー型は誰もが知っている認知症だが、認知症にはさまざまな種類があり、LATEはその中でも最も症例が多い。これからLATEについての研究を初め、治療法を最適化・開発するのはとてもワクワクする」
一方で、「これからやるべきことは多い。今回の発見はゴールではなくスタートに過ぎない」と述べ、「これまでアルツハイマー型と言われていた人の多くが、実はそうではなかったと分かるだろう」と指摘した。
■他の専門家の意見は?
ユニヴァーシティー・コレッジ・ロンドンのロバート・ハワード教授は、「この論文はここ5年で認知症について発表されたもので最も重要かもしれない」と語った。
「アルツハイマー型に有効だといわれていた試験薬はLATEには効果がない。これは今後の試験で、被験者に重要な選択をもたらすだろう」
エディンバラ大学の認知症専門家、タラ・スパイアーズ=ジョーンズ教授は、「認知症の症状はさまざまな病気が原因で起こることがわかっており、どの原因がどんな認知症を引き起こすのかを知ることが、治療法の開発には不可欠だ。そういった意味で、この研究は重要だ」と述べた。
英アルツハイマー・ソサエティーのジェイムズ・ピケット博士は、この研究は「より精度の高い診断と、パーソナライズされた認知症治療への最初の一歩だ」と語った。
一方でアルツハイマー・リサーチのキャロル・ルートレッジ博士は、LATEの症状を病院で医師が診断することはまだできないと指摘している。
(英語記事 New type of dementia identified)
https://www.bbc.com/news/health-48092570
https://www.bbc.com/japanese/48116477