→アメリカ・アラバマ州沿岸の海底で、6万年前のイトスギが発見される
→イトスギの中に見つかった「フナクイムシ」という生物が、新薬開発に応用できるとのこと
2004年、メキシコ湾を襲ったハリケーン・アイバンにより、アラバマ州・モービル湾の海底18メートル付近で、太古のイトスギが出土しました。
このイトスギは、およそ6万年前のもので、現在のアラバマ沿岸に繁茂していた森の木でした。その後の気候変動により、イトスギは何千年ものあいだ、海底の土壌中に埋もれていたようです。
これほど古い木が発見されただけでも貴重なことですが、今回、ルイジアナ州立大学、サザン・ミシシッピ大学、ユタ大学などの研究により、この木が新薬開発に応用できることが判明しました。
その鍵を握るのは、木の中に発見されたある太古の生物とのことです。
報告の詳細は、「NOAA(アメリカ海洋大気庁)」に掲載されています。
Bioprospecting for Industrial Enzymes and Drug Compounds in an Ancient Submarine Forest
https://oceanexplorer.noaa.gov/explorations/20ancient-forest/welcome.html
■木の中の「小型生物」が新薬の鍵を握る?
研究チームは、イトスギが生きていた時代の環境や気候条件を調査するため、採取したサンプルを分析にかけています。
イトスギは、海底の土壌に埋もれていたおかげで保存状態が良く、酸化や腐食が防がれていました。
同チームのクリスティン・ドゥロン氏は「樹皮を切り取ると、空気に充満するほどの強い樹液が出てきました。また、木の繊維や年輪も目で確認することができました」と話しています。
分析の結果、イトスギの年輪は、現生するイトスギのそれよりも間隔が狭く、サイズも均等であることから、当時の気候は現代よりずっと寒冷であったことが分かりました。
さらに、木の中には、およそ300におよぶ古代生物の死骸が見つかっています。
中でも研究チームが特に注目したのが、「フナクイムシ(shipworm)」です。
フナクイムシは、細長い水管が発達した小型の軟体生物で、体の前面には2枚の貝殻を持っています。彼らは、海底に沈んだ木材に住み着き、貝殻は樹皮に穴を開けるために使用されます。
そのため、フナクイムシは「海のシロアリ」とも呼ばれるそうです。
採取されたフナクイムシからは、100種ほどの細菌株が抽出されており、しかもその多くが新種と判明しています。
研究チームは、その中から12種の細菌株を選び出し、DNA配列の解析を行いました。
その結果、これらの遺伝情報が、対寄生虫の治療薬や痛み止め、抗ガン剤、抗ウイルス剤といった新しい抗生物質の開発に応用可能と特定されたのです。
一方で、新薬開発のためには、遺伝情報の分析も含め、さらなるサンプルが必要です。
しかし現在、メキシコ湾での調査は新型コロナウイルスの影響により自粛されています。
そこで研究チームは、無人の潜水ロボットを用いることで、イトスギの眠る海底の調査を継続する予定です。
早くとも来年には、本格的な研究が再開されるとのことで、新薬開発に期待が寄せられています。
https://nazology.net/archives/56549
→イトスギの中に見つかった「フナクイムシ」という生物が、新薬開発に応用できるとのこと
2004年、メキシコ湾を襲ったハリケーン・アイバンにより、アラバマ州・モービル湾の海底18メートル付近で、太古のイトスギが出土しました。
このイトスギは、およそ6万年前のもので、現在のアラバマ沿岸に繁茂していた森の木でした。その後の気候変動により、イトスギは何千年ものあいだ、海底の土壌中に埋もれていたようです。
これほど古い木が発見されただけでも貴重なことですが、今回、ルイジアナ州立大学、サザン・ミシシッピ大学、ユタ大学などの研究により、この木が新薬開発に応用できることが判明しました。
その鍵を握るのは、木の中に発見されたある太古の生物とのことです。
報告の詳細は、「NOAA(アメリカ海洋大気庁)」に掲載されています。
Bioprospecting for Industrial Enzymes and Drug Compounds in an Ancient Submarine Forest
https://oceanexplorer.noaa.gov/explorations/20ancient-forest/welcome.html
■木の中の「小型生物」が新薬の鍵を握る?
研究チームは、イトスギが生きていた時代の環境や気候条件を調査するため、採取したサンプルを分析にかけています。
イトスギは、海底の土壌に埋もれていたおかげで保存状態が良く、酸化や腐食が防がれていました。
同チームのクリスティン・ドゥロン氏は「樹皮を切り取ると、空気に充満するほどの強い樹液が出てきました。また、木の繊維や年輪も目で確認することができました」と話しています。
分析の結果、イトスギの年輪は、現生するイトスギのそれよりも間隔が狭く、サイズも均等であることから、当時の気候は現代よりずっと寒冷であったことが分かりました。
さらに、木の中には、およそ300におよぶ古代生物の死骸が見つかっています。
中でも研究チームが特に注目したのが、「フナクイムシ(shipworm)」です。
フナクイムシは、細長い水管が発達した小型の軟体生物で、体の前面には2枚の貝殻を持っています。彼らは、海底に沈んだ木材に住み着き、貝殻は樹皮に穴を開けるために使用されます。
そのため、フナクイムシは「海のシロアリ」とも呼ばれるそうです。
採取されたフナクイムシからは、100種ほどの細菌株が抽出されており、しかもその多くが新種と判明しています。
研究チームは、その中から12種の細菌株を選び出し、DNA配列の解析を行いました。
その結果、これらの遺伝情報が、対寄生虫の治療薬や痛み止め、抗ガン剤、抗ウイルス剤といった新しい抗生物質の開発に応用可能と特定されたのです。
一方で、新薬開発のためには、遺伝情報の分析も含め、さらなるサンプルが必要です。
しかし現在、メキシコ湾での調査は新型コロナウイルスの影響により自粛されています。
そこで研究チームは、無人の潜水ロボットを用いることで、イトスギの眠る海底の調査を継続する予定です。
早くとも来年には、本格的な研究が再開されるとのことで、新薬開発に期待が寄せられています。
https://nazology.net/archives/56549