■インフルエンザのように冬に流行するのか、警戒する専門家
南米ブラジル、サンパウロ州では、インフルエンザワクチンの接種キャンペーンがいつもの年より緊急性を帯びている。これから寒くなるこの国は、インフルエンザの流行期を迎える。医療の専門家たちは、できるだけ多くの人にインフルエンザの予防接種をすることで、新型コロナウイルス感染症(COVID-19)と共通の症状がある患者の中から、COVID-19の感染者をより迅速に特定したいと考えている。
この区別ができることは、大きな意味を持つ。ブラジルでは南半球各国の中で最も多くの感染者、死亡者が確認されており、4月16日現在、国内ではサンパウロで最も多くの感染者が出ている。南半球の気温が下がり始めた今、新型コロナウイルスには季節性があるのか、冬になると状況がさらに悪化する可能性があるのかは、重大な関心事となっている。
季節性の有無をウイルス自体から判断することは難しい。これはひとつには、季節性に対応する遺伝的シグナルはないからだ。また、このコロナウイルス「SARS-CoV-2」は非常に新しいため、確定的なことを言えるだけの十分なデータが揃っていない。
「ほかの呼吸器系ウイルスと同様に季節性があるのではないかと思われますが、感染拡大の初期段階である今はまだ、このウイルスにどのような性質があるかを知ることは困難です」とブラジル、サンパウロ大学公衆衛生学部の疫学者、アナ・ポーラ・サユリ・サトウ氏は言う。
目下のところ科学者らができるのは、ほかのコロナウイルスによるものを含め、毎年冬に発生する一般的な風邪などの季節的疾病から丹念に手掛かりを収集することだけだ。
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https://natgeo.nikkeibp.co.jp/atcl/news/20/042000251/