新党結成へ「布石は打ってある」細野豪志議員インタビュー 8/10(木)
https://news.yahoo.co.jp/feature/718 ――この2年間、何を考えてきたのですか。
民進党のあり方です。きっかけは2年前の安保法制の国会でした。当時、私は党政調会長でしたが、党は廃案を求めて「反対」に突き進み、対案を国会に提出できなかった。
日本には、北朝鮮問題など現実的な脅威があります。それに対して答えを持たずに、政府の案にただ反対するというのは、政権を目指す政党として「まずい」と思いました。
翌年の参院選で共産党と共闘することになり、次は衆院選でも、という流れができてきたので、ある時点から党を離れて新しいものを作ったほうがいいのではないかと考え始めたのです。
――改憲私案を公表したのも、今回の離党につながっているのですか。
そうですね。憲法は、国の基本中の基本にかかわる政策です。国会議員をやっている以上は何かしらの見識があるべきで、安倍政権のいかなる動きがあっても、自分たちの案を持ってドーンと構えているべきです。
これまで何回かの政権交代を経験して、国民の政党を見る目が変わってきている気がしています。野党の役割は政府をチェックするだけでは十分ではなくて、いざというときに政権を担い得ること。
「反対」ばかりしていることを国民は求めていないと思うんです。残念ながら、その辺の感覚が民進党の中でズレてきていて、私との間でも非常にズレが大きくなっていました。
――安保法制の際に反対に終始したことで、政権交代の可能性が遠のいたと?
長い目で見たときに失ったものは大きいです。2002年から03年にかけてあった小泉政権での有事法制の議論では、民主党は修正案を出して、最終的に与野党協議で法案を成立させました。
共産党などから反対の声も大きかったのですが、我々は安全保障に責任を持つのだという態度を示すことで、その後の政権に近づいた感触がありました。
安全保障を現実的に考えているかどうかは、政権を取る資格と言ってもいいかもしれません。
いま「憲法」「安全保障」「共産党」の3つが原因となって、全体状況として民進党が政権政党として国民からみなされていないのだと思います。
――自分自身が党を立て直すという選択肢はなかったんですか。
前原(誠司。民進党所属・衆議院議員)さんとはこの間も話をしまして、私とかなり考えが近いと思います。ただ、私はやっぱり「民進党を変える」のは非常に難しいと思っています
。というのは、この2年間、党内で「共産党と組むべきではない」「憲法をきちんと出すべきだ」「安保法制は党として法案を出すべきだ」とずっと言ってきたのは私だ、という思いがあるわけですよ。
それができないのは、いまの民進党を構成している議員全体として、そういうスタンスだからです。代表は影響力が大きいですが、代表が変わったとしても民進党の方向性が変わるとは思えませんでした。
私に代表選への出馬を持ち掛けてくれた人もいましたが、仮に代表になっても、私が思う方向に持っていくのは無理だと思いました。
代表選があってもなくても、私はこのタイミングしかないと思っていたので、結論が変わることはなかったんです。
――党内で思いを共有する仲間とムーブメント作っていくこともできたのではないですか?
それは考えました。実はこの2年間、何度かそういうことを頭の中でシミュレーションしてきました。でも、それを断念してきた理由は、常に「何人来てくれるか」「資金が集まるか」という問題でした。
最後は自分で腹を決めるしかない。自分の中で一つの結論が出ているわけですから、今回は「1人でもやる」と決めたのです。
党を離れることは支持基盤を失う可能性もあるから、大きなリスクです。実際、私個人がもっとも安定的に議員を続けられるのは、民進党にとどまることです。
だけど、リスクを取らない人間に「一緒にやろう」と言う人はいませんから。
――野党再編が起こらないと、なかなか人数も集まりません。
まずは旗を立てて、そこで何人集まってくれるかということです。そのための核を作りたいと思います。それと、選挙戦で国民に訴えていく上で重要なのは、誰がトップになるか、誰がそれを言うか、です。
私自身は、「自分が」という気持ちはありません。捨て石でもいいから、とにかく形を作れればいい。