https://ironna.jp/article/10281
1945年に太平洋戦争が終わり、朝鮮半島が北と南に分かれ、大韓民国という国家が新しく生まれました。国家をつくる上で要になるのは、憲法です。1948年、韓国の憲法を定める最初の会議(制憲国会開会会議)が開かれましたが、そこで驚くべきことが起こります。
国会開会を宣言する議長が発した第一声が、なんと神への感謝の祈りを議場に促す言葉だったのです。それは「大韓民国独立民主国第一次会議をここに開催するに至りましたことを、私たちは神に感謝しなければなりません」というものでした。
日本では考えられないでしょうが、韓国という国はそのようにして始まったのです。その時の議長がだれかといえば、のちに初代大統領になった李承晩(イ・スンマン)でした。これは速記録にもきちんと残っています。このエピソード一つ踏まえるだけでも、韓国の政治とキリスト教がいかに密接に関係しているかがわかると思います。
キリスト教といってもいろいろな教派や立場があります。保守系キリスト教、進歩系キリスト教、つまり、キリスト教にも右派、左派があるんですね。
キリスト教右派、左派というのは、カトリックかプロテスタントかで分かれているのではありません。カトリックもプロテスタントも、大部分は保守でしょう。ただ、一部に進歩的な人たち、北朝鮮とも仲良くしていこうという人たちがいて、その人たちを左派と呼ぶわけです。そしてその代表がカトリックや「聖公会」の一部、また「長老教会」や「メソジスト教会」などのプロテスタントの一部の人たちです。
そして政治的保守層のキリスト者たちは保守系キリスト教と結びつく傾向があり、政治的進歩層のキリスト者たちは進歩系キリスト教と結びつく傾向があります。歴代大統領の宗教をみれば、それは明らかです。
例えば李明博(イ・ミョンバク)大統領はプロテスタント「長老教会」の長老でした。彼は長老教会の中でも「統合」と呼ばれる中道派に属し、保守から進歩までを含む一番幅が広い教派です。
その後の朴槿恵(パク・クネ)大統領は非常に保守的な政治家でした。父親の朴正煕(パク・チョンヒ)を支持していたキリスト者たちは主として保守的キリスト者たちでしたから、同じような人々が支持していたとみてよいでしょう。
そして進歩派で知られる現在の文在寅(ムン・ジェイン)大統領は、カトリック信徒です。ご存じの通り、廬武鉉(ノ・ムヒョン)と文在寅は親密な同志ですが、彼らを支えているのは同じキリスト教グループです。
政治的進歩を支えているキリスト者たちは、軍事独裁政権と呼ばれた時代に、民主化闘争のために命を張って戦った人々である、という共通点があります。彼らは多くの保守系キリスト教が体制側に立っているのに対して、弱きものの立場に立ってキリスト教の精神を具現化していくんだと、独裁政治に対抗したのです。中でもカトリックで構成された「正義具現司祭団」というグループが中心的な役割を果たしました。
そして民主化運動が成功し政権交代が果たされた後、金大中(キム・デジュン)、廬武鉉大統領の時には、民主化運動をした神父や牧師たちが政権のブレーンになっていきました。その牧師や神父は政府の中枢部に入って行きブレーンとなっていきました。特に南北関係の核心的なポストに、神父や神学者が入っていったわけです。
韓国政界は、表向きにはあまりキリスト教の存在はわからないでしょうが、国家の決定的なところにキリスト教徒たちが多数入っているのが現実です。
日本のキリスト教徒の人口比率は、1%に満たないと言われています。一方、韓国のキリスト教徒はカトリックやプロテスタントを併せて俗に30%ほどと推測されます。最近は韓国でもキリスト者人口は減ってきていますが、それでも日本とは大きく違いますよね。
(略)
1945年に太平洋戦争が終わり、朝鮮半島が北と南に分かれ、大韓民国という国家が新しく生まれました。国家をつくる上で要になるのは、憲法です。1948年、韓国の憲法を定める最初の会議(制憲国会開会会議)が開かれましたが、そこで驚くべきことが起こります。
国会開会を宣言する議長が発した第一声が、なんと神への感謝の祈りを議場に促す言葉だったのです。それは「大韓民国独立民主国第一次会議をここに開催するに至りましたことを、私たちは神に感謝しなければなりません」というものでした。
日本では考えられないでしょうが、韓国という国はそのようにして始まったのです。その時の議長がだれかといえば、のちに初代大統領になった李承晩(イ・スンマン)でした。これは速記録にもきちんと残っています。このエピソード一つ踏まえるだけでも、韓国の政治とキリスト教がいかに密接に関係しているかがわかると思います。
キリスト教といってもいろいろな教派や立場があります。保守系キリスト教、進歩系キリスト教、つまり、キリスト教にも右派、左派があるんですね。
キリスト教右派、左派というのは、カトリックかプロテスタントかで分かれているのではありません。カトリックもプロテスタントも、大部分は保守でしょう。ただ、一部に進歩的な人たち、北朝鮮とも仲良くしていこうという人たちがいて、その人たちを左派と呼ぶわけです。そしてその代表がカトリックや「聖公会」の一部、また「長老教会」や「メソジスト教会」などのプロテスタントの一部の人たちです。
そして政治的保守層のキリスト者たちは保守系キリスト教と結びつく傾向があり、政治的進歩層のキリスト者たちは進歩系キリスト教と結びつく傾向があります。歴代大統領の宗教をみれば、それは明らかです。
例えば李明博(イ・ミョンバク)大統領はプロテスタント「長老教会」の長老でした。彼は長老教会の中でも「統合」と呼ばれる中道派に属し、保守から進歩までを含む一番幅が広い教派です。
その後の朴槿恵(パク・クネ)大統領は非常に保守的な政治家でした。父親の朴正煕(パク・チョンヒ)を支持していたキリスト者たちは主として保守的キリスト者たちでしたから、同じような人々が支持していたとみてよいでしょう。
そして進歩派で知られる現在の文在寅(ムン・ジェイン)大統領は、カトリック信徒です。ご存じの通り、廬武鉉(ノ・ムヒョン)と文在寅は親密な同志ですが、彼らを支えているのは同じキリスト教グループです。
政治的進歩を支えているキリスト者たちは、軍事独裁政権と呼ばれた時代に、民主化闘争のために命を張って戦った人々である、という共通点があります。彼らは多くの保守系キリスト教が体制側に立っているのに対して、弱きものの立場に立ってキリスト教の精神を具現化していくんだと、独裁政治に対抗したのです。中でもカトリックで構成された「正義具現司祭団」というグループが中心的な役割を果たしました。
そして民主化運動が成功し政権交代が果たされた後、金大中(キム・デジュン)、廬武鉉大統領の時には、民主化運動をした神父や牧師たちが政権のブレーンになっていきました。その牧師や神父は政府の中枢部に入って行きブレーンとなっていきました。特に南北関係の核心的なポストに、神父や神学者が入っていったわけです。
韓国政界は、表向きにはあまりキリスト教の存在はわからないでしょうが、国家の決定的なところにキリスト教徒たちが多数入っているのが現実です。
日本のキリスト教徒の人口比率は、1%に満たないと言われています。一方、韓国のキリスト教徒はカトリックやプロテスタントを併せて俗に30%ほどと推測されます。最近は韓国でもキリスト者人口は減ってきていますが、それでも日本とは大きく違いますよね。
(略)