障害者雇用の水増し問題を巡って21日、野党が厚労省など13府省庁にヒアリングした。水増しの有無について質問が飛んだが、いつもの「官僚答弁」で実態はウヤムヤ。さらに、静岡や島根など計10県の教育委員会なども水増しに手を染めていたことが発覚し、底が見えなくなってきた。
雇ってもいないのに、国のルールに従って障害者を雇用している、と国も自治体も虚偽報告を続けていたのだから、とんでもない話だ。
ヒアリングでは、各省庁とも示し合わせたように「精査中」と口を揃えていたが、関心を集めたのは、農水省と国交省が「6月20日に厚労省から『再点検』の依頼がきた」と発言したことだ。厚労省は早い時期から問題を把握しながら、“隠蔽”していた可能性がある。
「ちょうどあの頃、厚労省は裁量労働制の基となるデータの不備が発覚し、野党から責められていた。新たな問題を追及されることを恐れ、“隠蔽”したのではないかとみられています」(霞が関関係者)
いずれにせよ、42年間も水増しを“放置”していたのだからフザケているが、問題発覚で改めて疑問視されているのが、厚労省所管の独立行政法人「高齢・障害・求職者雇用支援機構」の存在だ。
従業員100人超の企業は、障害者雇用率2.2%の達成を義務付けられており、未達の場合、不足1人当たり月5万円の納付金を徴収される。機構は徴収業務と、多数の障害者を雇用する企業への調整金の支給業務を担っているが、徴収した“罰金”を右から左に流すだけなのに、役員報酬がヤケに高額なのだ。
全8人の役員のうち、最高は理事長の年間約1780万円。ヒラの理事でも1000万円オーバーが複数いる。しかも、2人は厚労省出身だ。なぜ高額報酬を払う必要があるのか。機構に問い合わせたが「担当者が出払っており、返答できない」という。ジャーナリストの若林亜紀氏はこう言う。
「公式な経歴を見たところ、2人の役員は本省に籍を置いたまま機構に移る『現役出向』というもので、事実上の天下りです。退職するよりも本省での在籍期間が長くなる分、退職金の額も増えます。納付金の徴収業務は、厚労省の業務の一環で強制性が強いため、取りっぱぐれることはあまりありません。難解な業務ではありませんし、役員に高額報酬を支払う必要はないのではないか。障害者の方が生き生きと働ける環境づくりに使うべき納付金を、厚労省の役人が食いつぶしている格好です」
厚労省は一体どこを向いて仕事しているのか。
日刊ゲンダイ
https://www.nikkan-gendai.com/articles/view/news/235913/
雇ってもいないのに、国のルールに従って障害者を雇用している、と国も自治体も虚偽報告を続けていたのだから、とんでもない話だ。
ヒアリングでは、各省庁とも示し合わせたように「精査中」と口を揃えていたが、関心を集めたのは、農水省と国交省が「6月20日に厚労省から『再点検』の依頼がきた」と発言したことだ。厚労省は早い時期から問題を把握しながら、“隠蔽”していた可能性がある。
「ちょうどあの頃、厚労省は裁量労働制の基となるデータの不備が発覚し、野党から責められていた。新たな問題を追及されることを恐れ、“隠蔽”したのではないかとみられています」(霞が関関係者)
いずれにせよ、42年間も水増しを“放置”していたのだからフザケているが、問題発覚で改めて疑問視されているのが、厚労省所管の独立行政法人「高齢・障害・求職者雇用支援機構」の存在だ。
従業員100人超の企業は、障害者雇用率2.2%の達成を義務付けられており、未達の場合、不足1人当たり月5万円の納付金を徴収される。機構は徴収業務と、多数の障害者を雇用する企業への調整金の支給業務を担っているが、徴収した“罰金”を右から左に流すだけなのに、役員報酬がヤケに高額なのだ。
全8人の役員のうち、最高は理事長の年間約1780万円。ヒラの理事でも1000万円オーバーが複数いる。しかも、2人は厚労省出身だ。なぜ高額報酬を払う必要があるのか。機構に問い合わせたが「担当者が出払っており、返答できない」という。ジャーナリストの若林亜紀氏はこう言う。
「公式な経歴を見たところ、2人の役員は本省に籍を置いたまま機構に移る『現役出向』というもので、事実上の天下りです。退職するよりも本省での在籍期間が長くなる分、退職金の額も増えます。納付金の徴収業務は、厚労省の業務の一環で強制性が強いため、取りっぱぐれることはあまりありません。難解な業務ではありませんし、役員に高額報酬を支払う必要はないのではないか。障害者の方が生き生きと働ける環境づくりに使うべき納付金を、厚労省の役人が食いつぶしている格好です」
厚労省は一体どこを向いて仕事しているのか。
日刊ゲンダイ
https://www.nikkan-gendai.com/articles/view/news/235913/