「週刊文春」が報じた「森友自殺〈財務省〉職員遺書全文公開 」(取材・執筆/相澤冬樹氏)が反響を呼ぶ中、安倍晋三首相の妻・昭恵氏が、3月下旬に都内で花見をしていたと「NEWSポストセブン」(3/26付)が報じた。新型コロナウイルス対策で東京都による野外の宴会自粛要請が出ている中での“花見疑惑”に、疑問の声が上がっている。
昭恵氏の行動が問題視されたのは、今に始まったことではない。森本問題で財務省職員・赤木俊夫さんの自殺が報じられた2018年3月9日、昭恵氏は芸能人が集まるパーティーに参加していたのだ。詳細を報じた「週刊文春」2018年3月29日号掲載の記事を全文公開する。肩書き、日付、年齢などは当時のまま。
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「信無くば立たず」。安倍晋三首相に小泉純一郎元首相は、政治の要諦をこう説いたという。ねじ曲げられた行政の数々が明るみに出て、安倍政権は信頼を失いつつある。最高権力者として、あるいはその妻として、なぜ彼らは自らを律することができなかったのか。
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3月9日夜7時、世界中のセレブが集まるダイニングバー「bills銀座」。この日、宝石箱をイメージしたというラグジュアリーな空間で、大手PR会社副社長の誕生日パーティが盛大に開かれていた。会場に姿を見せたのは、真矢ミキや神田うの、中田英寿、別所哲也ら大勢の有名人。そうした中、一人の女性に視線が注がれていたという。
安倍昭恵夫人である。
「昭恵さんが来ることは知らされていましたが、こういう日だからまさか来られるとは思わなかった。でも、落ち込んでいる様子もなく、知り合いの人たちとにこやかに挨拶していました」
参加者の一人がそう思うのも無理はない。実は、この日の昼頃、世間を震撼させるニュースが報じられていたからだ。
「森友学園との国有地売買交渉に携わっていた近畿財務局職員のAさんの自殺です。Aさんは森友問題への対応で精神的に追い込まれ、遺書を残して7日に自ら死を選びました」(社会部記者)
夕方には、佐川宣寿国税庁長官(当時)が辞意を表明。それを受け、夜7時40分頃から、麻生太郎財務相は緊急会見を開いている。
「ちょうど昭恵氏がパーティを楽しんでいる時間帯です」(前出・参加者)
その時の様子を、神田うのが昭恵氏とのツーショット写真とともに自身のインスタグラムに投稿。〈いつもキュートで素敵な昭恵夫人〉と紹介されていた。
「うのはSNSに知人の写真を出す際、必ず許可を取ります。今回もそうだった。昭恵氏は“別に問題ない”という考えだったのでしょう。結局、コメント欄に昭恵氏への批判が殺到し、その写真はすぐに削除しました」(事務所関係者)
■「改めればいいんでしょ」
昭恵氏が“セレブライフ”を謳歌する間に、内閣支持率は急落していく。時事通信の世論調査(9日から12日)では、支持率は前月比9.4ポイント減という39.3%。不支持率(40.4%)を下回った。
「10%は下がると思っていたけどね。事実を説明していくしかないよ」
この数字を聞いた安倍首相はそう強がっていたという。首相周辺が解説する。
「支持率が20%台に落ち込めば、外交交渉にも影響する“危険水域”だというのが、首相の持論。この程度なら、まだ大丈夫という自信の表れでしょう。週末は『筋肉を鍛えないと前頭葉が衰えてしまうから』と、ホテルのスパでトレーニングを重ねていました」
ところが、その翌週に行われた日本テレビの世論調査で、内閣支持率は“危険水域”目前の30.3%にまで沈み込んでしまう。
「昨年の都議選後も20%台に突入しましたが、『姿勢さえ改めればいいんでしょ』と開き直っていた。この時は希望の党の小池百合子氏の“排除”発言で形勢が逆転し、衆院選に大勝しました。首相は強気を貫く理由を『一次政権の時は落ち込みすぎて失敗したから』と言いますが、今回の局面を同じように乗り切れるのか……」(同前)
平静を装う首相に対し、財務省トップとして連日国会で追及され、苛立ちを隠せないのが、麻生氏だ。野党のヤジには「やかましいなぁ」とドスの効いた声で逆ギレ。与党内からも「態度を改めたほうがいい」と批判が上がっている。
「一時は佐川氏との“心中”に傾きましたが、『俺が辞めると内閣がガタガタになる』と踏みとどまりました。ただ、麻生氏が入れ込む仮想通貨問題が主要テーマだったG20も参加を見送ることになった。今の状況に不満を抱いているのは確かです」(麻生氏周辺)
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