「吐血した」「顔色が悪い」など健康不安説がくすぶっている中での「検査」だけに永田町は騒然だ。
17日、安倍首相が、都内の慶応大病院で7時間半にわたって診察を受けた。官邸側は、「体調管理を目的とした日帰り検診」「夏季休暇を利用し、休み明けに万全を期すため」などと説明したが、額面通りに受け取っていいのかどうか。安倍首相は6月13日に人間ドックを受診している。それから2カ月後の今回は「追加検査」とのことだが、追加で7時間以上もかかるものなのか。
大手メディアも疑心暗鬼なのだろう。17日安倍首相が慶応病院に入る際と出た際には、「速報」として伝えたテレビ局もあった。病院前に報道陣50人超が待機し、ただの検査ではあり得ない緊張感だったのだ。
早速、永田町では与野党議員の間をこんな情報が駆け巡った。
<総理が慶応病院入院。佐藤栄作の連続在位期間を抜く24日以降に辞任し、麻生副総理が代理となり総裁選>
ついにXデーか、とのざわめきに、自民党幹部は「念のための検査だろう。心配ない」と打ち消し、安倍首相に近い議員も「浮足立つのはやめましょう」と平静を呼びかけていた。それはむしろ、そこまでヤバいのか、と思わせるものだった。
第1次政権では誰にも相談せず突然決断
自民党関係者が言う。
「今後のことは検査結果次第でしょう。何もなければ、少し休息を取って英気を養い、仕事を続けられる。一方、これ以上は体調が持たない、となれば、今月24日に在職日数が単独で歴代最長となるのを待っての退陣もある。その場合は麻生財務相が後継ということで、15日に2人が私邸で会った際に話し合ったのではないかとみられている。しかし、総裁選になれば、解散総選挙を見据えて世論の人気の高い石破元幹事長が勝つ可能性もある。安倍首相は、それだけは絶対に阻止したいのでしょうが……」
支持率下落などストレスからの“病気退陣”は、持病の潰瘍性大腸炎を悪化させた第1次政権時と重なる。2007年7月29日の参院選で自公過半数割れの大惨敗を喫し、党内から退陣要求が出るも安倍首相は拒否。8月27日に内閣改造し、9月10日に臨時国会で所信表明をしたものの、代表質問の予定だった同12日、退陣を表明した。官邸の側近など事前に誰にも相談することなく、突然の決断だったという。
政治評論家の野上忠興氏はこう話す。
「安倍首相は予測不能な人ですからね。いつ、どんな行動に出てもおかしくないと思います。病院に検査に行っただけで、これだけ大騒ぎになるような状況です。国民だって、いったいどうなっているのかと首をかしげていることでしょう。特に今は新型コロナ禍の有事。国のトップとしてまともに指揮が執れないのなら、もう辞めて欲しい、という世論も少なくない」
2度目の決断の時期がいよいよ迫ってきた。
日刊ゲンダイ
20/08/18 14:50
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