一定収入以上の75歳以上を対象に、病院などの窓口で支払う医療費の自己負担を1割から2割に引き上げる改正法案が3日、参院厚生労働委員会で自民、公明両党などの賛成多数で可決された。4日開かれる参院本会議で可決・成立する見通しだ。増え続ける高齢者の医療費の約4割を出している現役世代の負担軽減がねらいだ。
現在、75歳以上(約1815万人)の大半は窓口負担が1割で、現役並みの所得がある人のみが3割を負担している。新たに2割負担になるのは、年金などの年収が単身世帯で200万円(夫婦2人なら320万円)以上などの条件を満たす場合で、約370万人が対象となる。2022年度後半に負担割合を引き上げる。
負担が急に増えないように、導入後3年間は外来に限ってひと月の負担増を最大3千円に収める措置を実施する。この措置を含めても、平均の窓口負担額は1人年約8・3万円から約10・9万円へと、約2・6万円増える計算だ。
75歳以上の医療費は、高齢者の窓口負担分を除いて約16・6兆円(今年度予算ベース)。この半分を税金、約4割を現役世代の保険料が元になる支援金、約1割を高齢者自身が払う保険料でまかなっている。少子高齢化の加速で75歳以上の医療費は今後も膨らみ、現役世代の負担も増す一方だ。菅義偉首相は「若い世代の負担上昇を抑える」と2割負担の導入を主導し、昨年12月に政府・与党が決めた。
ただ、現役世代の負担軽減額は、1人あたりでみると月額約30円(導入直後の場合)にとどまる。制度の見直しは引き続き検討課題になる見通しだ。
朝日新聞
6/3(木) 16:31
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