不正受給:中津川の「敬愛会」が7億円 県が改善命令 /岐阜
県は5日、中津川市阿木の社会福祉法人「敬愛会」(野村正成理事長)が00年、法人設立に必要な自己資金に
借り入れた金を寄付と偽って計上し、特別養護老人ホームの整備費などの補助金計約7億200万円を国と県から
不正受給していたと発表した。県は同日付で敬愛会に経理を適正にするよう改善命令を出したが、補助金は
「施設整備のため適正に使われ、不正流用は無かった」として返還を求めない方針という。
県によると、敬愛会は00年10月に県から法人の認可を受けた。当初の資金計画は約10億1500万円で、
7億200万円が補助された。敬愛会は中津川市に特養施設などを開設、現在330人が入居・利用する。
認可のために必要だった自己資本1億1300万円を捻出(ねんしゅつ)するため、敬愛会は野村理事長の知人からの
「寄付」1500万円を計上し、認可が下りた直後の00年12月までに他の理事や会社を迂回(うかい)して
全額返金した。迂回時に理事長や理事、会社が負担した金は、理事長報酬を水増ししたり、架空の契約を会社と結び、
補てんした。1000万円を寄付した別の知人にも、03〜05年に敬愛会職員や知人を通じ返金した。
改善命令は、給与水増しや架空契約などの不適切な支出約1750万円に社会保険料を加えた額を法人資金に
戻すよう命じた。
県は年1回、定期監査に入っていたが、今年1月に情報が寄せられ、初めて不正を認識。詐欺罪の公訴時効(7年)が
過ぎているため、刑事告発はできないという。
http://mainichi.jp/area/gifu/news/20101006ddlk21040179000c.html