社会学者ウォーラーステイン氏死去 「世界システム論」
https://www.asahi.com/articles/ASM93151MM92UCLV01B.html 近代世界を一つのシステムとしてとらえる「世界システム論」で知られるアメリカの
社会学者・歴史学者のイマニュエル・ウォーラーステインさんが8月31日死去した。
88歳だった。所属した米ニューヨーク州立大学ビンガムトン校の関係者が明らかにした。
1930年、米ニューヨーク生まれ。国ごとの歴史ではなく、国際的な分業体制という観点から
近代資本主義をみる世界システム論を確立した。大航海時代以来、銀や砂糖、綿花などの交易を仲立ちにして、
17世紀のオランダ、19世紀の英国、20世紀の米国といった「覇権(ヘゲモニー)国」を中心にした
世界資本主義のシステムを形成したと主張した。冷戦終結で権威が落ちたマルクス主義に代わる、
巨視的な歴史理論として影響力を持った。
主著は、74年から刊行が始まった「近代世界システム」。当初は1450年から現代までを
全4巻で叙述する計画だったが、2011年に出た第4巻は1914年までの内容で、
完結していない。ほかに「史的システムとしての資本主義」「アフター・リベラリズム」など。