死刑囚の真意はどこに−−。1998年7月、和歌山市園部で4人が死亡した毒物カレー事件で29日、和歌山地裁は林真須美死刑囚(55)の再審請求を棄却した。長女(35)が一時、急性ヒ素中毒になり、「カレー事件被害者の会」副会長を務めた杉谷安生さん(69)=和歌山市園部=は「長いようで短い19年。真相は分からず、心にかかったもやは今も晴れない」と胸の内を明かした。【最上和喜】
杉谷さんの長女は、友達に誘われて事件現場の夏祭り会場を訪れた。そこで、カレーを食べて急性ヒ素中毒の症状を発症し、数日間入院した。後遺症はないが、現在でも「(事件が)なぜ起きたのか、今も疑問はある。そっとしておいてほしい」と事件に話が及ぶと口が重くなる。
林死刑囚の再審請求が棄却されたことについて、杉谷さんは「良かったとも、良くなかったとも思わない」と冷静に受け止めた。
事件から今年で19年。林死刑囚は直接証拠のないまま死刑が確定したが、無罪を主張し続けている。杉谷さんの思いは複雑だ。「本当に新しい証拠があるなら、もう一度裁判をしたらいい」と考える一方で、捜査段階では黙秘を続けた末、控訴審で供述を始めた林死刑囚に「無実ならなぜ最初から話さないのか」との不信感は消えない。
10年ほど前に、杉谷さんの自宅に林死刑囚から手紙が届いた。茶封筒に、蛍光ペンで「HOPE SMILE」などと書かれ、支援者集会への参加を求めるものだった。「なぜ自分に手紙を送ったのか分からないが、必死に無実を訴えているのは感じた」
杉谷さんは、事件の約4カ月後に結成された会の副会長として、行政への要望などに尽力した。その中で、「事件の遺族とそれ以外の被害者とでは、被害感情の部分で格差があり、すれ違いが生まれた」と振り返る。取材に積極的に応じた住民が、周囲から冷たい目で見られることもあったという。杉谷さんは言う。「どこに怒りをぶつければいいのか。被害者はみんな自分を納得させている。何年たっても忘れることはありません」
毎日新聞 3/30(木) 10:05配信
https://headlines.yahoo.co.jp/hl?a=20170330-00000019-mai-soci
杉谷さんの長女は、友達に誘われて事件現場の夏祭り会場を訪れた。そこで、カレーを食べて急性ヒ素中毒の症状を発症し、数日間入院した。後遺症はないが、現在でも「(事件が)なぜ起きたのか、今も疑問はある。そっとしておいてほしい」と事件に話が及ぶと口が重くなる。
林死刑囚の再審請求が棄却されたことについて、杉谷さんは「良かったとも、良くなかったとも思わない」と冷静に受け止めた。
事件から今年で19年。林死刑囚は直接証拠のないまま死刑が確定したが、無罪を主張し続けている。杉谷さんの思いは複雑だ。「本当に新しい証拠があるなら、もう一度裁判をしたらいい」と考える一方で、捜査段階では黙秘を続けた末、控訴審で供述を始めた林死刑囚に「無実ならなぜ最初から話さないのか」との不信感は消えない。
10年ほど前に、杉谷さんの自宅に林死刑囚から手紙が届いた。茶封筒に、蛍光ペンで「HOPE SMILE」などと書かれ、支援者集会への参加を求めるものだった。「なぜ自分に手紙を送ったのか分からないが、必死に無実を訴えているのは感じた」
杉谷さんは、事件の約4カ月後に結成された会の副会長として、行政への要望などに尽力した。その中で、「事件の遺族とそれ以外の被害者とでは、被害感情の部分で格差があり、すれ違いが生まれた」と振り返る。取材に積極的に応じた住民が、周囲から冷たい目で見られることもあったという。杉谷さんは言う。「どこに怒りをぶつければいいのか。被害者はみんな自分を納得させている。何年たっても忘れることはありません」
毎日新聞 3/30(木) 10:05配信
https://headlines.yahoo.co.jp/hl?a=20170330-00000019-mai-soci