大阪府は31日午前、補助金の受給状況に疑問点が生じていることなどを理由に、学校法人「森友学園」が運営する「塚本幼稚園」(大阪市淀川区)への立ち入り調査を始めた。大阪市も同日午後、学園系列の社会福祉法人が運営する「高等森友学園保育園」(同)への立ち入り調査を実施する。府市は学園理事長と社会福祉法人代表を兼ねる籠池泰典氏から事情を聴く予定で、補助金申請に不備が確認されれば返還を請求する。
森友学園を巡る一連の問題発覚後、府市による立ち入り調査は初めて。この日は府職員10人が午前9時から幼稚園で調査を始めた。籠池氏も立ち会っているとみられる。府は私立学校振興助成法、市は子ども・子育て支援法などに基づき、補助金申請関連の書類の原本などを調べる。違法性が明らかになれば告訴・告発に踏み切る方針という。
塚本幼稚園では、保育園でも勤務する職員を「幼稚園の専任教員」と報告し、専任教員の数に応じて支給される補助金を実際より多く受け取っていた可能性がある。特別な支援が必要な子供の在籍人数に応じ支給される補助金では、申請に必要な保護者の同意書を得ていたかが不明で、府は1000万円超とみられる今年度分の支給を停止している。
保育園は2015、16両年度、常勤の園長がいる前提で支給される「所長設置加算」約1000万円を市から受け取った。籠池氏の妻が園長を務めるが、幼稚園では副園長として勤務。受給資格のないまま補助金を受給していた可能性があり、市は調査のため4月分の支給を止めた。園児への対応の一部が虐待に当たるとの指摘もあり、事実確認をする。
また、府は立ち入り調査に合わせて、学園が豊中市の国有地を購入して計画した小学校の認可申請のため、府に提出した書類の原本などを確認する。金額が異なる3種類の工事請負契約書が存在することについても説明を求める。
大阪府の松井一郎知事は31日午前、府庁で記者団の質問に答え、「(補助金の算定根拠となった)人員配置を重点的に調べたい」とした上で「不正取得があれば、司法に判断を仰ぐ形になるのではないか」と述べた。大阪地検特捜部が、学園が国土交通省の補助金を不正に受給した疑いがあるとする告発状を受理したことには「事実を知っているのは学園、建築会社、設計会社だ。誠実に話すべきだ」と求めた。【津久井達、念佛明奈、米山淳】
毎日新聞 3/31(金) 10:59配信
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