公正取引委員会が17日公表した「プラットフォーマー」と呼ばれる巨大IT企業の取引実態をめぐる調査の中間報告で、ほとんどの消費者が巨大IT企業による個人情報の収集や管理に懸念を示した。これを受け、政府はこれまで企業間取引を中心に規定していた独占禁止法の「優越的地位の乱用」を、巨大IT企業の個人情報の収集にも適用する方向で議論に入る。(大柳聡庸)
公表した中間報告を近く政府の有識者会議で示し、巨大IT企業の規制のあり方を協議する。その上で政府は具体策を今夏にまとめる成長戦略に反映させる方針だ。17日に記者会見した公取委の山田昭典事務総長は、不公正な取引実態が明らかになった中間報告について、「(規制のあり方の)議論を促進する材料になる」と説明した。
会員制交流サイト(SNS)やインターネット検索などを通じ、巨大IT企業は個人から膨大なデータを集める。その情報を基に個人の好みや関心に応じた広告を表示するなどして利益をあげてきた。消費者は自分の位置情報や検索履歴といった個人情報を無料で提供する代わりに、地図アプリや検索サービスなどを利用できる。
中間報告では、巨大IT企業によるこうした個人情報の利用について、8割弱の個人消費者が情報流出などの観点から「懸念がある」と回答した。政府はこうした個人データにも「金銭的な価値」があるとみて、巨大IT企業による個人情報の収集にも「独禁法の適用を検討する」(公取委幹部)考えだ。
ただ、中間報告では巨大IT企業のサービスによって、「不利益を受けたと感じたことがない」という消費者の回答も7割弱に達した。巨大IT企業のサービスと個人情報の金銭的な価値に大きな差があることを客観的に示すのは困難で、独禁法を適用する上では運用面での課題も残る。
このため、政府は独禁法の適用と並行し、ある巨大IT企業が蓄積した個人情報を、他社に移せる仕組みも検討している。政府は個人が他社のサービスに移りやすくなり、データの寡占も防げるとみている。
産経新聞
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