アルマ望遠鏡を使った観測で、ビッグバン後9億年の宇宙に、天の川銀河の1/100の質量しかない小さな銀河が発見され、さらにこの銀河が回転によって支えられていることが分かりました。これほど若い時代の宇宙で、これほど小さな銀河が回転に支えられていることが分かったのは、今回が初めてです。これは、この小さな銀河より手前にある銀河の大集団(銀河団)の重力によって光が増幅される「重力レンズ効果」のおかげです。宇宙初期にはこれまでの観測ではとらえられないような暗くて小さな銀河が多かったと考えられますが、今回の研究はそうした「普遍的な銀河」の姿に初めて切り込み、これまでにない解像度で描き出しています。
宇宙は138億年前に「ビッグバン」によって誕生し、その数億年後に最初の小さな銀河が作られ始めたと考えられています。銀河の中では多くの星が生まれ、また銀河どうしの衝突を経て成長してきました。ところが、小さな銀河には星もガスも少なくて暗いため、従来の観測では調べることが困難でした。これまでにも宇宙誕生から十数億年後の銀河の観測実績はありましたが、大きく明るい銀河の観測が主となっていました。しかし、大きな銀河は宇宙初期の銀河の一般的な姿とはいいがたく、より暗くて数の多い一般的な銀河の姿を明らかにすることが、宇宙初期の銀河進化の全体像をつかむ上では欠かせませんでした。
こうした暗い銀河を研究するため、アルマ望遠鏡を使って重力レンズ効果によって拡大された宇宙初期の銀河を多数探し出す大規模掃天観測計画(ALMA Lensing Cluster Survey: ALCS)が実行されました。重力レンズは、遠くの銀河から出た、本来届くはずのなかった光が、進路途中の大質量天体の重力によって曲げられて地球に届く現象です。重力がまるでレンズのような働きをするため、重力レンズと呼ばれます。重力レンズを通してみると、遠くの天体の光が増光されたり、複数の像に見えたり、天体の姿が引き伸ばされたりしてみます。つまり、宇宙空間に浮かぶ「天然の望遠鏡」といえます。
ALCSの研究チームは、アルマ望遠鏡の観測として非常に長い95時間を観測に投じる大規模観測プログラムを実行し、重力レンズを引き起こす銀河団33個の中心領域をくまなく観測しました。このうち、うさぎ座の方向にあるRXCJ0600-2007と呼ばれる銀河団は、太陽の1000兆個倍の質量を持っています。研究チームは、この巨大銀河団が作る重力レンズ効果を受けた、ひとつの遠方銀河を発見しました。アルマ望遠鏡はこの遠方銀河が放つ塵(ちり)および炭素イオンの光を検出しました。ジェミニ望遠鏡による観測データとあわせることで、この光が129億年前にこの銀河から発せられたものであることが判明しました。
…続きはソースで。
https://alma-telescope.jp/news/press/alcs-202104
2021年4月20日
宇宙は138億年前に「ビッグバン」によって誕生し、その数億年後に最初の小さな銀河が作られ始めたと考えられています。銀河の中では多くの星が生まれ、また銀河どうしの衝突を経て成長してきました。ところが、小さな銀河には星もガスも少なくて暗いため、従来の観測では調べることが困難でした。これまでにも宇宙誕生から十数億年後の銀河の観測実績はありましたが、大きく明るい銀河の観測が主となっていました。しかし、大きな銀河は宇宙初期の銀河の一般的な姿とはいいがたく、より暗くて数の多い一般的な銀河の姿を明らかにすることが、宇宙初期の銀河進化の全体像をつかむ上では欠かせませんでした。
こうした暗い銀河を研究するため、アルマ望遠鏡を使って重力レンズ効果によって拡大された宇宙初期の銀河を多数探し出す大規模掃天観測計画(ALMA Lensing Cluster Survey: ALCS)が実行されました。重力レンズは、遠くの銀河から出た、本来届くはずのなかった光が、進路途中の大質量天体の重力によって曲げられて地球に届く現象です。重力がまるでレンズのような働きをするため、重力レンズと呼ばれます。重力レンズを通してみると、遠くの天体の光が増光されたり、複数の像に見えたり、天体の姿が引き伸ばされたりしてみます。つまり、宇宙空間に浮かぶ「天然の望遠鏡」といえます。
ALCSの研究チームは、アルマ望遠鏡の観測として非常に長い95時間を観測に投じる大規模観測プログラムを実行し、重力レンズを引き起こす銀河団33個の中心領域をくまなく観測しました。このうち、うさぎ座の方向にあるRXCJ0600-2007と呼ばれる銀河団は、太陽の1000兆個倍の質量を持っています。研究チームは、この巨大銀河団が作る重力レンズ効果を受けた、ひとつの遠方銀河を発見しました。アルマ望遠鏡はこの遠方銀河が放つ塵(ちり)および炭素イオンの光を検出しました。ジェミニ望遠鏡による観測データとあわせることで、この光が129億年前にこの銀河から発せられたものであることが判明しました。
…続きはソースで。
https://alma-telescope.jp/news/press/alcs-202104
2021年4月20日